『往来するもの』インタビュー

odol ミゾベ&森山が語る、バンドの“ムードと変化”「新しい扉が開きそうな予感がある」

森山公稀「“往来”の前には“変身”がタイトル候補にあがっていた」

ーー「声」は、ある種の幕開けの曲というわけですよね。

森山:そうですね。

ーーということは、“覚醒”というのが、バンドの状況や成長だけでなく、アルバムのストーリーとしても軸になっていると思うんです。「光の中へ」という扉を開ける曲で始まって、「時間と距離と僕らの旅」という旅立ちをモチーフにした曲もあり、ラストの「声」というある種の幕開けのイメージを持った曲で終わる。“変わっていくこと”というのが、歌詞や曲のモチーフにもなっている。だから不思議とサウンドや曲調はバラバラでも、一貫性を感じるアルバムなのですね。そのことも、作り終わってから気付いたのでしょうか?

森山:まさにそういう感じです。1曲1曲を作っていたときは、その都度思っていたことをただ正直に音にし続けてただけなのですが、あとから振り返ってみると、ある種の統一感みたいなものがあるなと。作り終えたときに、僕らとしても“変わっていくこと”が共通項かなと思いました。“往来”という言葉の前には“変身”といった言葉もタイトルの候補にあがっていて、そういうイメージがアルバムに共通しているのかなみたいな話もしていて。“変わっていくこと”というのは、まさに大きなテーマとして存在しているなと思います。

ーーそれを踏まえてミゾベさんに聞きたいのですが、変わっていくことだけでなく、それによって失うことや手放すことといったものも歌詞の中の重要なモチーフとして出てきている印象です。

ミゾベ:もともとこの作品を作る前から自分には、変化していくことは儚いこと、切ないことだという気持ちが常にあるんです。物事を見るときにも儚さや切なさといったネガティブな部分が目に付くというか。そうじゃなくて、変わっていくことはポジティブなことなんだなと思えたこと自体が、僕にとっては最大の変化で、それを素直に書いたのが「光の中へ」という曲です。前に感じていたことが絶対じゃなくて、変化することが進歩することなんだなということも実感できました。ちなみに、変わることへの儚さを歌っている曲は、普段目に付いているようなところをそのまま歌にしています。

ーーなるほど。では、この9曲を作ったことによって、odolというバンドが、新しい扉を開けたという実感はありますか?

森山:どうなんだろう? 新しい扉が開きそうな予感があるくらいですかね。「光の中へ」の歌詞のなかにもあるのですが、〈闇の先を見ている〉という状態に近くて。まだ光の中にいるわけではないんですけど、光の手前に闇があって、そこを抜けられそうな雰囲気がある。

ーー夜明け前のようなイメージ。

森山:そうかもしれないです。

ーーその予感の先でodolというバンドはどんな風になっていると思いますか?

ミゾベ:どうなってるんだろう。

森山:すごいことになっていればいいなと思いますけど(笑)。でもやっぱり、そこが見えてるわけではなくて、その闇の先に光があることだけはわかるといった状態なので、具体的にどうなっているかというイメージはないし、自分たちにもわからないです。仮に見えてきても、それがゴールになってしまうのが嫌なので、あえて「こうなりたい」という場所は見つけようともしていません。たぶん、音楽を作ることに対する基本的な考え方やスタンス自体は、これまでとそんなに変わっていないし、これからも変わらないかなとは思います。

(取材・文=柴 那典/写真=林直幸)

odol『往来するもの』

■リリース情報
odol NEW ALBUM『往来するもの』
発売中
価格:2,500(+税)

<収録曲>
1.光の中へ
2.大人になって
3.four eyes
4.GREEN
5.人の海で
6.発熱
7.時間と距離と僕らの旅
8.憧れ
9.声

■ツアー情報
『odol TOUR 2018 “往来”』
チケット:全公演3,300円(+1ドリンク代)
イープラスローソンチケットチケットぴあにて発売中。

12月1日(土)福岡・INSA
時間:OPEN17:30/START18:00(20:30終演予定)
ゲスト:Attractions

12月2日(日)大阪・CONPASS
時間:OPEN17:30/START18:00(20:30終演予定)
ゲスト:LILI LIMIT

12月16日(日)東京・渋谷WWW(※ワンマンライブ)
時間:OPEN17:30/START18:00(20:00終演予定)

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