K-POPにおけるグループの枠超えたコラボ Red Velvetら参加のSM STATIONまでの歩みを辿る

 そんな中で活発に他事務所間コラボ曲をリリースしているのが、先述のSTATIONである。特にJYPとはチョ・グォン(現在はCUBEエンターテインメント所属)&元Miss A・ミン&少女時代・ヒョヨンや、ペク・アヨン&Red Velvet・ウェンディなど、何曲かコラボレーション企画を行なっている。

[STATION] 박진영X효연X민X조권 'Born to be Wild (Feat. 박진영)' MV
[STATION] 백아연 X 웬디 (WENDY) '성냥팔이 소녀 (The Little Match Girl)' MV

 また、昨年より提携を始めて話題となったMYSTICエンターテインメントとは2017年に“雪だるまプロジェクト”というSUPER JUNIOR-Mのヘンリー(現在は個人事務所)が中心になって両事務所のアーティストをプロデュースする、というTVバラエティ番組を通してNCT・マーク&パク・チェジョンのコラボ曲、Red Velvetによるユン・ジョンシンカバー曲などをリリースした。この2曲のMVはSUPER JUNIORのシンドンが演出。後に両事務所のアーティストが出演した『雪だるまコンサート』も開催された。また、パク・チェジョンはソウルや日本の『SMTOWN LIVE』にも出演。NCT・マークとのコラボレーションソング「Lemonade Love」を披露した。

[STATION] 박재정 X 마크 'Lemonade Love' MV
[STATION] Red Velvet 레드벨벳 '환생 (Rebirth)' MV

 音盤は強いが音源シェアではYGやJYPよりは弱いと言われるSMだが、STATIONではBoA&Beenzino、K.Will&EXO・ベクヒョン、10cm&EXO・チェン、エリック・ナム&Red Velvet・ウェンディ、M&D(SUPER JUNIOR・ヒチョルとTRAX・ジョンモのユニット)&MAMAMOO・フィイン、NCT・ドヨン&gugudan・セジョンなど、いわゆる“音源強者”と呼ばれる他事務所アーティストと自社アーティストのコラボレーションを活発に行なっている。また、シン・ヨンジェとf(x)のルナといった歌唱力に定評のある歌手や、オニュとイジンアやRoco(Rocoberry)などの個性派ミュージシャン、人気のインディーズミュージシャンとのコラボも発表している。

 活発に他事務所とのコラボレーションを行なってはいるが、現状STATIONからリリースされた曲で一番ヒットした曲は少女時代・テヨンソロ曲「Rain」であり、そのほかは大ヒットと呼べる曲はまだ出ていない。しかし、単に自社のアーティスト楽曲をリリースするだけではなく、様々な事務所からアイドルやアーティストを集めてのコラボレーションやスタンリー・クラークやアストリッド・ホリデイなどの欧米のアーティストの曲に加え、YESEO、PENOMECO、THE SOLUTIONSといったインディー系実力派アーティストの曲をリリースするなど、今までのSMエンターテインメントにはなかった音楽的な試みを果敢に続けている。貴重なプラットフォームとして、今後の動向が気になるところである。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
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