三森すずこの“奇跡のストーリー”は続いていく 感謝の想いで溢れた5周年記念ライブ

三森すずこ5周年記念ライブを見て

 三森すずこが8月12日、パシフィコ横浜・国立大ホールにて『MIMORI SUZUKO 5th Anniversary Live「five tones」』を開催した。

三森すずこ

 彼女はソロアーティストとして、2013年4月に発売したデビューシングル『会いたいよ...会いたいよ!』を皮切りに、今年6月には4thアルバム『tone.』をリリース。みきとPやnano.RIPEをはじめ、錚々たる作家陣が集結する一枚となった。

 三森はこれまで、“遊園地”や“おもちゃ箱”など、ひとつの世界観をテーマにしたコンセプチュアルなアルバムを制作し、そのリリースライブでは舞台女優の経験を活かした、ストーリーを伴うミュージカル仕立てのライブを企画してきた。しかし今回は、楽曲同士を自由に繋ぎ、ファンへの想いを何度も言葉にする、“三森すずこ”というアーティストにスポットが当てられた特別な公演となった。

 ライブは、コール&レスポンスが楽しい「ミライスタート」で幕を開け、「Happy Lucky Life!!」では「人生大勝利!!」という感情を、流行真っ只中の踊りも交えつつ表現できるのは、さすがの一言に尽きる。続いて「“カラフル”で楽しい1日にしましょう!」という前置きから、「Colorful Girl」「ドキドキトキドキトキメキス♡」とダンサブルなテクノポップを2曲続けて披露し、“PandaBoYワールド”を展開。〈モノクロのセカイを鮮やかにして / 次は何色にしようかな〉という「Colorful Girl」の歌詞は、アルバム発表やライブのたびに新たな一面を見せる、彼女の音楽活動そのものを描いているかのようで、この日のステージにもうってつけだった。

 6曲目「恋はイリュージョン」は、ビッグバンドジャズの小洒落たナンバーで、曲中では軽やかなタップダンスも披露。三森とその制作チームは、オントレンドな事象にとても敏感なのかもしれない。映画『ラ・ラ・ランド』が国内で大ヒットを記録した2017年に、ミュージカルスタイルの「恋はイリュージョン」のMVを発表したことも、その表れなのではないか。

 11曲目「アレコレ」では、夜を思わせるメロウなビートの上で、“オトナ”になりきれない女性が、仕事や恋愛などの毎日の“アレコレ”をやり過ごし、人に嫌われずに生きたいと脱力する様子が歌われる。彼女にとって等身大の内容だからこそ、ライブパフォーマンスもますます説得力を帯びるのだが、特筆すべきはその巧みな“語り”だ。抜群のリズムキープに加え、初挑戦のトースティングを違和感なくこなせるのは、長年の声優活動で培われた技量なのだろう。

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