シングル「GIFTED」インタビュー

SCREEN modeがアニソンと向き合いたどり着いた“自分たちらしさ”「ここからが本当のスタート」

「アニソン以外の部分で何をやれるか?」が重要

ーー素晴らしい。お互いの表現の幅が広がることで、当然、曲作りにも良い影響が出てきますよね。

雅友:そうですね。5年間のなかでいろいろなバリエ—ションの曲を作ってきたし、自然と「いままでは違うことをやってみよう」ということになるので。SCREEN modeとしての個性が明確になってきたと思うんですよ、いろんな意味で。僕らの場合、シングルはほとんどがアニメのタイアップで、アニメ作品の世界を表現することがもっとも重要なんですね。カップリングに関しては、パズルみたいな感じというか、足りないピースを埋めていくような感じで作っていたんです。たとえばデビュー曲(TVアニメ『ぎんぎつね』ED主題歌「月光STORY」)はバラードだったから、「まずは速い曲を作ろう」とか。あとは「アニソンのトレンドを使わず、アニソンらしいものを作りたい」という気持ちもあったんですが、その感じで何年か過ぎて、最近は「アニメという枠を外したときに残るものは何だろう?」と考えるようになって。その挑戦はいまも続いてますね。

ーーSCREEN modeとしてのアイデンティティを確立する時期になったというか。

雅友:そうですね。アニメソングって、増え続けてるじゃないですか。制作されるアニメの本数もすごく多いし、その分、アニメに関する楽曲もどんどん増えていて。僕らも“アニソン・アーティスト”という括りに入ると思うんだけど、全曲アニソンというわけではないですからね。そうなるとやっぱり、「アニソン以外の部分で何をやれるか?」が重要になってくると思うんです。たとえば楽曲の強度だったり、パフォーマンスだったり、歌唱力だったり。もちろん「林勇というシンガーにどんな曲を歌わせるべきか?」ということもすごく考えます。歌の上手さだけを競うとスポーツみたいになってしまうけど、僕たちがやっているのはアートだし、勇にしか歌えない、SCREEN modeにしか表現できない曲を追求したいなと。

ーー勇さんも同じ意識を共有している?

勇-YOU-:そうですね。アニソンの場合は、アニメのイメージや世界観を軸にしながら、そこに自分たちの思いを乗せるという感じになることが多くて。そういうバランスのなかでいろいろな楽曲を歌わせてもらってきたんですけど、やっぱり「自分たちにしかできないことって何だろう?」と考えるようになって。まずは熱い気持ちを届けること、聴いてくれるみなさんの背中を押すような歌を歌うことだと思っているんです。そこに関しては負けないという自負があるというか。今回の「GIFTED」もそうですけど、熱い気持ちを伝えるということをもっと突き詰めたいですね。

ーー一発で“SCREEN modeだ”とわかるような、音楽的な個性も必要になってきそうですね。

雅友:うーん、どうですかね。僕も勇も、あまり個性的なことをやるキャラじゃないと思うんですよ。いきなりゲスの極み乙女。みたいな曲をやるとビックリされるだろうし(笑)、基本的には王道路線というか、アニメでいうとオープニングテーマ、主役の気持ちを代弁するような楽曲をやっていきたいので。そのなかで何を表現するか? というところですね、大事なのは。

ーー前向きなパワーに満ちたアッパーチューンであるカップリング曲「Make New STORY!」にも、いまSCREEN modeがやるべきことが反映されている?

雅友:「GIFTED」の制作過程で、いままでよりも高い音が使えることが判明して。それを踏まえて作ったのが「Make New STORY!」なんですよね。

勇-YOU-:(音域が)かなり高いです(笑)。「歌えるもんなんだな」って。

雅友:(笑)ファルセットも使ってるからね。これまでの曲と差別化したかったし、「発展し続けているんだな」というところを見せたいという気持ちもありました。あとはやっぱり「勇にしか歌えない曲」ということですよね。最近、水樹奈々さんのレコーディングに立ち合わせていただく機会が何度かあったんですけど、彼女も「自分にしか歌えない曲」ということを大切にしていて。スタジオで聴いていると、「これは確かに水樹さんにしか歌えないな」と感じる瞬間があるんですよ。

勇-YOU-:それは音域のことですか? それとも表現のこと?

雅友:両方。もちろん楽曲のテイストもあるし、水樹さんの声の高さ、表現を含めて、ちょうどいい均衡が取れたときに相乗効果が生まれるというか。それをSCREEN modeでもやりたいんですよね。勇の歌と楽曲が呼び合って、さらに大きくなっていくような……。

ーーその最初の一歩が、今回のシングルなのかも。

雅友:そうですね。「GIFTED」で新しい扉が開いた感覚があったし、それが「Make New STORY!」につながったので。ライブで盛り上がれる曲にしたいという気持ちもあったんですよね。

勇-YOU-:〈Wow-wo!〉っていっぱい歌ってますからね。

雅友:一緒に歌える箇所がいっぱいったら、おもしろいかなと思って(笑)。間奏にも入ってますから。

勇-YOU-:確かに(笑)。歌詞は松井洋平さんにお願いしたんですが、さっき言った“熱い気持ちを伝える”という部分を強調してくれていて。自分のアーティスト性みたいなものを理解してくれてるんだなと改めて感じましたね。“まだまだ前に突き進んでいきたい”という気持ちも入れてくれて。

雅友:SCREE modeは今年で5周年なんですが、一区切りとは捉えたくなくて、ひとつの通過点だと考えているんです。そのことを踏まえて、「新しいことはいつからでも、どこからでもはじめられる」という歌詞にしてほしいということを松井さんに伝えたんですよね。あと、勇が仮歌のときに歌っていた英語の感じも活かしてもらって。

勇-YOU-:適当な英語で歌ってたんですけど、その響きを活かしてくれて。〈新風到来〉〈絶対感動〉〈順風逆風〉もそうですけど、発音したときに気持ちいいフレーズが多いんですよね。音が乗りやすいし、歌っていてすごく楽しかったです。

関連記事