崎山蒼志が生み出す、他の何者にも似ていない音楽 宗像明将の『夏至 / 五月雨』評

 そして、蓄積されていく音楽の教養と比例して、ソングライティングや演奏、歌唱の技術を上げていくことは、誰もができることではない。ましてや、10代の前半で自身のスタイルが確立されていることは驚愕に値する。

崎山蒼志「夏至」(MV)

 「夏至」で崎山蒼志は歌う。〈あの夏に 取り残されて 何年たったか〉。いや、きみは何歳なのだ。なぜそんなに簡単に時空を超えられるのか。

 ついそんな問いをしてしまうかぎり、私たちは崎山蒼志を意識し続けてしまうだろう。彼の才能は、少しだけ不穏な匂いがするほどなのだから。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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