欅坂46の7thシングルはまさに“アンビバレント”である 収録内容とフォーメーションから感じたこと

 8月15日にリリースされる、欅坂46の7thシングル『アンビバレント』。7月20日から22日の3日間に渡り開催された『欅共和国 2018』最終日のWアンコールにて初披露され、先日収録曲やフォーメーションなどの詳細も明らかとなった。今回のシングルもまた、今の欅坂における様々な現状やドラマが読み取れる興味深い収録内容といった印象だ。

欅坂46『ガラスを割れ!』(初回限定盤Type-A)

 Type-A〜Dと通常盤の5形態で発売し、全タイプを合わせると新曲が7曲。内訳としては、欅坂46は表題曲の「アンビバレント」を含む3曲、けやき坂46(ひらがなけやき)は彼女たちの代名詞であり切り札的言葉でもある「ハッピーオーラ」の1曲、漢字欅によるユニット曲が2曲、そして今泉佑唯のソロ曲「日が昇るまで」となっている。

 7thシングルリリース決定の告知画像には、斜めに分断された異なるふたつの風景が映し出されていたことから、漢字とひらがなの両A面も期待されていたが、結果的には今までとは変わらず、むしろひらがなは前作よりも少ない1曲のみとなった。その代わり通常盤以外に付属されるDVDには、漢字×ひらがなの自撮りTVが収録されている。“平手友梨奈×柿崎芽実”や“今泉佑唯×齊藤京子”といった欅坂の歴史において鍵となる仲良しコンビをはじめ、名勝負の香りが漂う“長沢菜々香×富田鈴花”や、あまり目にすることがない“小林由依×濱岸ひより”といった漢字欅とひらがな2期生の組み合わせ、予想不可能な“渡辺梨加×井口眞緒”……ほかにも絶妙な組み合わせのコンビが多数収められているため、ひらがなファンも満足できる内容に仕上がっているのではないだろうか。

 さて、表題曲の「アンビバレント」だが、まず『欅共和国』で初披露された直後、ネット上では新曲に対する感想と共に、約1カ月前に公式サイトにてタイトルがすでにリークされていたことが話題になった。それは、8月6日に発売される『KEYAKI 〜2018 Summer ツアーメモリアルBOOK〜』発売決定のニュースで、6月28日に掲載されたもの。文中には、“異なる両A面表紙で、中身も「かわいい」と「かっこいい」が半分半分というアンビバレントなBOOKになっています。”という一文があった。"アンビバレント"という言葉が使用されていたことから、運営側の粋な計らいだったのではないかと、ファンの間では推測を呼んでいる。

 それはさておき、ある一つの対象に対し、相反する感情を同時に持つという意味が“アンビバレント”。欅坂の曲の詞は、『今日は一日“秋元康ソング”三昧』(NHK-FM)でも語られていたように、欅坂のプロデューサーで作詞家の秋元康が、彼女たちの現状を汲み取り、その悩みへのアドバイスをメッセージにして送るといった形がほとんどだ。今回の「アンビバレント」は、〈一人になりたい なりたくない〉といった、相反するふたつの感情がひたすら詞となっている。欅坂のシングル曲の歌詞は、“周りの雑音に悩みながらも、それでも自分らしく前へ進みながら生きて行く”といった内容が多い印象だ。たとえそれが「エキセントリック」や「夜明けの孤独」といった非常にパーソナルな感情を歌う楽曲でも、その傾向にあるように思う。だが、今回は人生のアドバイスではなく、ひらすら心境を吐露して終わっているため、今までと若干異なる印象を受ける。加えて、ストレートでとてもわかりやすい歌詞ということもあり、平手友梨奈が今考えている心境や周りの評価がより反映されているのでは? とついつい深読みしてしまう。

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