LINEチケット、ダフ屋行為禁止法案提出……チケット高額転売問題は解決へ向かうか?

 音楽業界でも、様々な対策が練られている。ジャニーズ事務所などの大手芸能事務所やレコード会社では、所属アーティストのコンサートでチケットの電子化や顔認証を行うなどの対策を取り、一定の成果を挙げていた。しかし、チケット当選後に顔写真を登録したり、転売者が身分証明書を貸し出したりするなどの抜け道があり、不正転売を完全には防げなかった。そんな中で注目を集めたのが、12年ぶりの全国ツアー『宇多田ヒカル CONCERT TOUR 2018』を11月に控えた宇多田ヒカルのケースだ。このツアーのチケットを入手するには、6月27日にリリースされた7枚目のアルバム『初恋』の購入特典として封入された「ツアーチケット先行応募抽選券」にて応募する必要があるのだが、この時点で顔写真を登録しなければいけないため、チケット当選後に不正をするのは不可能だ。また、CDを大量に購入して応募しても、同名義では一枚分しかカウントされない仕組みにもなっている。この対策が大きな効果を発揮すれば今後、大物アーティストのチケット販売のモデルケースとなる可能性もありそうだ。

 長らく不正な転売業者とのイタチごっこが続いてきたチケット転売問題だが、2020年に向けて、いよいよ解決の時が近づいてきたのかもしれない。

(文=松田広宣)

関連記事