細野晴臣の音楽家としての奥深さ 『万引き家族』サウンドトラックを聴いて

 6月8日に配信リリースされた『万引き家族』のオリジナルサウンドトラックを聴けば、すべての楽曲が共通するトーンでまとまっていることがわかる。前述した通り、すべて生楽器と電子音で構成されていることもあり(作曲、編曲はもちろん、演奏、録音、ミックスもすべて細野自身が手掛けている)、全体を通してひとつの楽曲として聴こえてくるのだ。生々しい日常性とファンタジー的な要素を併せ持った『万引き家族』のために制作された音楽は、ふだんの生活にちょっとした色味を加えるBGMとしても楽しめそうだ。

 今年1月の台湾、香港での公演に続き、6月23日にロンドン公演(音楽レーベル<Light In The Attic Records>の設立16周年記念イベントおよび、坂本龍一がキュレーターを務める『Thirty Three Thirty Three's summer series of arts and music, MODE』のイベント)、25日にブライトンでワンマン公演(高橋幸宏、坂本龍一も登場し、YMOの「Absolute Ego Dance」の演奏も実現!)を実施するなど、海外での活動も精力的に続けている細野晴臣。エレクトロニカ、ヨーロッパ音楽、ラテン音楽のエッセンスを散りばめた映画『万引き家族』のサウンドトラックは、全世界の音楽ファンに音楽家・細野晴臣の奥深さを改めて示すことになるはずだ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

『万引き家族(オリジナル・サウンドトラック)』

■リリース情報
『万引き家族(オリジナル・サウンドトラック)』
配信アルバム
発売:2018年6月8日(金)
全14曲(ボーナストラック含む)
作曲/編曲/演奏/Recording&Mixing〜細野晴臣
01.Shoplifters
02.Yuri’s Going Home
03.Living Sketch
04.Shota & Yuri 1
05.Yuri & Shota’s Shoplifting
06.The Park
07.Like A Family
08.Nobuyo & Yuri
09.Going To The Sea
10.Beach
11.Shota & Yuri
12.Run Away
13.The Empty Room
14.Image & Collage(Bonus Track)

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