「音楽のプロフェッショナルに聞く」第10回

姫乃たまがメンズ地下アイドルプロデューサーに聞く、運営の裏側と地上までの道のり

 “女の秋葉原”こと新大久保にイケメンカフェ・B-BOXはあります。「音楽のプロフェッショナルに聞く」第10回目は、メンズ地下アイドルの黎明期からB-BOXを拠点にB2takes!などの人気グループを生み出してきたBACSエンターテイメントの星山頼祥さんにお話を伺いました。地下から地上へのBACSエンターテイメント道、地下アイドル運営の裏側に迫ります。(姫乃たま)

メンズ地下アイドル黎明期から歩んだ、地上までの道

ーーB2takes!さん、メジャーデビュー決定おめでとうございます! 2012年の結成当時、女性の地下アイドルは流行していましたが、メンズ地下アイドルはまだ黎明期でしたよね。

星山頼祥(以下、星山):オーディション雑誌で「メンズ地下アイドル」を募集しても応募がないんですよね。読モならくると思うんですけど、メンズ地下アイドルはそれまでなかった文化なので。原宿を中心に、イケメンがいると聞いたら熊本県までスカウトしに行ってました。B2takes!を結成した当時は共演できるユニットも少なく、新大久保で借りたライブハウスをイケメンカフェ・B-BOXとして、メンバーも店員をしながらそこでライブをしていました。当初はお客さんも5人くらいしかいなかったです。

ーーうわあ、そこからどうやってメジャーデビューに至ったんですか?

星山:ライバルグループのRush×300を結成してから盛り上がりました。お客さんにコインを一枚渡して、ライブが終わったら投票してもらうシステムにしたんです。どっちかのユニットにコインが1000枚溜まったら牛一頭買って焼肉パーティしようって企画して、実際に一頭は買わなかったんですけど(笑)、松坂牛を20キロくらいバーンと買って、お客さんと優勝したB2takes!でバーベキューしたこともあります。それでどんどん盛り上がっていって、ユニットも今では7組所属してます。

ーー星山さんたちはもともと芸能関係のお仕事をされてたんですか?

星山:僕は福岡のゲーム会社にいたので、芸能界にいたわけではないです。ケータイゲームの移り変わりの速さに着いていけなくて悩んでいたら、いまの代表と出会って。

ーーえっ、じゃあいきなり退社して上京して、どうなるかわからないメンズ地下アイドルのイケメンカフェを運営することに決めたんですか?!  なぜ!

星山:なんですかね、子供ができたからかもしれません。

ーーえっ、逆に?!

星山:子供が生まれるってわかった時に、窓際族になって会社に行きたくないって背中を子供に見せたくないなって思ったんです。生き生きと会社に行く姿を見せたいじゃないですか。仕事って辛いものじゃなくて、いまをいかに楽しくするかなんだよって。

ーーえー、いい話……。

星山:信じて付いてきてくれた奥さんが良かったってことです。でも芸能のことはわからないですし、B2takes!も最初はどうやって売っていけばいいのか全然見えなかったです。ただ代表が勘が鋭くアイデアがいろいろと出てくる方なので、それを僕が具現化していくという感じでうまく進めたと思います。今では、メジャーデビューという王道の流れに乗せることができました。

ーー星山さん自身は面白いこと好きというか、先の焼肉パーティのような風変わりな方法で地上への道を探っているところがいいですよね。

星山:今って何が当たるかわからないじゃないですか。だから他人と違うことをやる事は大事ですよね。今はRush×300がすごく良いです。ワクワクさせてくれます。いままでとは違う売れ方をさせたいと思っているので。

ーーえっ、なんですか?

星山:大手企業さんと一緒に初めてのミニアルバムを作って、東名阪の三大都市ツアーと、その最後で来年の1月4日に東京ドームシティホールを借りたんですよ。

ーーうわあ、何人規模でしたっけ。

星山:3000人です。会場費もいままでと桁違いです。今回ようやくメンズ地下アイドルと企業が一緒に組むという僕の目標がひとつ達成されました。

ーー地下アイドルに残るいかがわしいイメージが改善されそうです。こんなにしっかりした地下アイドル事務所ってあるんだなあ。

星山:みんな売れたくてうちに来てくれてるので、スタッフとしてその夢に責任を持っています。Rush×300は休みができたらどこかにビラ配りに行ってて、そのやる気に心打たれますよね。彼らがやる気を見せてくれれば、僕たちもやる気になるんです。

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