「嵐の嵐会」の風景こそが『「untitled」』の完成形だ “ファン目線”で楽しむ姿勢から感じたこと

 つまり、この約2時間30分に渡る和気あいあいとした雰囲気の映像に収められているのは、実際の演者本人たちによる演出の詳細な解説であったり、曲に込められた意図の種明かしだけではなく(もちろんそれらは聞き応えのあるコメントだし、まだまだ聞きたいくらいではあるが)、むしろ彼らが一ファンとして、ファンと同じようなスタイルで、ファン目線で嵐を楽しんでみる、という姿勢なのだ。

 そうした風景を映像作品に付属させるのは、やはり今回のアルバムやツアーのコンセプトに忠実に添った結果とも言えるだろう。あるいは、そういったものとは切り離したところにあるデビュー19年目の境地なのかもしれない。

 「“untitled”。タイトルが付いてないんで。これは、おのおのが今日どういう風に感じたか。それによって、タイトルを付けることで、完成します」

 というライブMC中の言葉に倣うとすれば、映像を観ながらライブについて語り合っているまさにその光景こそが、彼らが望んだ“untitled”の完成形なのだ。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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