“絶好調のNGT48”と“新女王狙うSKE48” 田中秀臣が『AKB48 世界選抜総選挙』の注目点を解説
そして今回はなんといっても名古屋での開催を受けて、ご当地であるSKE48グループの躍進が期待されている。中でも昨年の第3位だった松井珠理奈がついに首位を奪取できるかが大きなポイントである。昨年との単純な比較でいえば、このまま速報1位の荻野由佳を抜いて、初の栄冠に輝きそうである。おそらくそのシナリオが最も確実性が高いだろう。本人もデビュー10周年であり、今後の活動も含めて意欲満々である。もちろん荻野もそうだし、また速報3位にいる宮脇咲良にも初の女王への期待は大きいだろう。
愛知県の経済状況は現段階で拡大基調にある。日本全体の個人消費の伸びは、ここ最近は低迷しているのに比較して、愛知県は回復傾向と言える。これを支えているのは、県内の自動車産業を中心にした生産の活況であろう。特に自動車は海外輸出が伸びている。このような経済の好調を、SKE48がアイドル消費に結びつけていけば大きく飛躍するかもしれない。ただし経済面では、トランプ政権の保護貿易政策によって自動車産業なども将来的な不確実性が増している。対して松井珠理奈やSKE48の躍進の可能性について、いまのところ不透明感はない。ただ松井珠理奈の初女王は予定調和での出来事ではないだろう。私見では、松井と宮脇の二者の覇権争いは、苛烈なものになるのではないか、と思う。また荻野やその他の上位メンバーも絡んでくるかもしれない。
いずれにせよ、AKB48選抜総選挙は、国民的イベントとして今年も健在である。
■田中秀臣
1961年生まれ。現在、上武大学ビジネス情報学部教授。専門は経済思想史、日本経済論。「リフレ派」経済学者の代表的論客として、各メディアで発言を続けている。サブカルチャー、アイドルにも造詣が深い。著作に、『AKB48の経済学』、『日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉』『デフレ不況』(いずれも朝日新聞出版社)、『ご当地アイドルの経済学』(イースト新書)など多数。『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社)で第47回日経・経済図書文化賞受賞。好きなアイドルは、櫻井優衣、WHY@DOLL、あヴぁんだんど、鈴木花純、26時のマスカレイド、TWICE、NGT48ら。Twitter、アイドル・時事専用ブログ