JUN SKY WALKER(S)、音楽に対する変わらぬ姿勢 “ポップさ”にこだわり抜いた30年を振り返る
デビュー30周年を迎えたJ(S)Wこと、JUN SKY WALKER(S)が絶好調だ。RCサクセションやBOØWYなどの名曲をカバーした企画アルバム『BADAS(S)』を1月に発表したのに続き、5月21日には『ALL TIME BEST ~全部このままで~ 1988-2018』をリリース。ツアーやイベントなども含めてライブ活動も盛んに行い、とにかく精力的なイメージを伝えてくれている。
J(S)Wがメジャーデビューを果たしたのは、1988年の5月。すでに原宿のホコ天で路上ライブを行い、大きな話題になっていたが、メジャーデビューすることでメディアへの登場も増大し、ファン層も膨れ上がった。彼らのデビューが鮮烈だった理由は、まだまだアンダーグラウンドが主流だったパンクシーンで、驚くほどポップなイメージをまとっていたからだ。1985年にはすでにLAUGHIN' NOSEがメジャーデビューを果たしていたし、前年にはTHE BLUE HEARTSもデビューしている。しかし、彼らもポップ性があったとはいえ、アクの強さは強烈だったわけで、J(S)Wほどのキャッチーな存在ではなかった。
しかし、J(S)Wはとにかく、シンプルで子どもにもわかりやすいパンクを提示してくれた。「全部このままで」や「歩いていこう」、「START」といった初期代表曲は、タイトルを見るだけでもストレートなのがよくわかる。ドラムスの小林雅之とベースの寺岡呼人による疾走感のあるビート、ギター森純太がかき鳴らすように弾くギターをメインにしたバンドアンサンブル、そして宮田和弥がエモーショナルに歌うポップなメロディと爽快で青春の薫りに満ちた歌詞を武器に、一気に人気を勝ち取った。デビューの翌年には日本武道館の初ワンマンライブを行っているが、当時はデビューからの武道館まで、史上最短記録となっている。
J(S)Wが30年を迎えられた秘訣として、このポップな路線を頑なに曲げなかったことを挙げられるだろう。ロックバンドは成長とともに、音楽的な冒険をしがちだ。例えば、THE BLUE HEARTSも後期のアルバムでは少し実験的なことも行っているし、J(S)Wの盟友ともいえるユニコーンの変遷ぶりをみても変化は必然ともいえる。しかし、J(S)Wは1997年に解散するまで、とにかくわかりやすさを貫き通した。当時の主流であったビートパンクと呼ばれたポップなパンクシーンの中でも、J(S)Wはとにかくポップさにこだわり抜いたのだ。
2007年に再結成を果たし、2012年から再び本格的な創作活動に入ったJ(S)W。もちろん、メンバーそれぞれの演奏力はアップし、バンド全体の表現力も豊かになった。加えて、少し過去を懐かしむような「青春」や「アニバーサリー」、そして今回のオールタイムベストアルバムのために新録した「One-Way」のようなノスタルジックな歌詞が目立ち、年相応といってもいい作品が生まれている。とはいえ、彼らはすでに、「白いクリスマス」や「さらば愛しき危険たちよ」のような路線でヒットも飛ばしているので、やはりブレはないといってもいいだろう。今回のオールタイムベストアルバムのDisc3には、昨年末のバンドの聖地・渋谷La.mamaでのライブテイクが収められているが、まるでデビュー当初のようなソリッドで躍動的なパフォーマンスを聴かせてくれる。これも、彼らの音楽に対する姿勢が変わっていないという記録でもある。
バンドは変化して行くのが当然だとは思うが、ファンとしてはどうしても過去のイメージにとらわれてしまう。そこにギャップが生じて失速していくことも多々あるのだが、J(S)Wにはメンバーとファンの隔たりが一切感じられない。古くからのファンの期待に答えながらも、バンドとしてボトムアップしていく。それが、J(S)Wの魅力なのだと思う。
■栗本 斉
旅&音楽ライターとして活躍するかたわら、選曲家やDJ、ビルボードライブのブッキング・プランナーとしても活躍。著書に『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)、共著に『Light Mellow 和モノ Special -more 160 item-』(ラトルズ)がある。
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■リリース情報
『ALL TIME BEST~全部このままで~1988-2018』
発売:2018年5月21日(月)
初回生産限定盤(3CD+DVD):¥4,500(税抜)
通常盤 (3CD):¥3,500(税抜)
〈CD収録曲〉
初回・通常共通
DISC1/2にはベストソングに加え、
「愛しい人よ」「休みの日」「言葉につまる」のリアレンジバージョン、
+新曲1曲の計30曲を収録。サウンドプロデュースはONE OK ROCKなどを手掛けるakkin。
さらにDISC3には最新プレミアムライブ音源10曲を収録(レア楽曲含む)。
〈DISC1〉
1. 全部このままで (1988.05.21 「全部このままで」より)
2. MY GENERATION (1988.05.21 「全部このままで」より)
3. いつもここにいるよ (1988.05.21 「全部このままで」より)
4. すてきな夜空 (1988.11.10 「ひとつ抱きしめて」より)
5. 声がなくなるまで (1988.11.10 「ひとつ抱きしめて」より)
6. 明日が来なくても (1988.11.10 「ひとつ抱きしめて」より)
7. 歩いていこう (1989.06.21 「歩いていこう」より)
8. 風見鶏 (1989.06.21 「歩いていこう」より)
9. 砂時計 (1989.06.21 「歩いていこう」より)
10. エルマーの夢 (1989.06.21 「歩いていこう」より)
11. 白いクリスマス (1989.11.21 「白いクリスマス」より)
12. Let’s Goヒバリヒルズ (1990.06.28 「Let’s Go Hibari-hills」より)
13. START (1991.02.21 「START」より)
14. メロディー (1991.02.21 「START」より)
15. 僕を灰に (1991.02.21 「START」より)
16. スケッチブック (1991.11.15 「TOO BAD」より)
17. ロマンチック (1992.11.11 「STAR BLUE」より)
18. 時の列車 (1994.05.21 「DAYS」より)
〈DISC2〉
1. さらば愛しき危険たちよ (1995.05.21 「nine」より)
2. ユア・ソング (1996.07.01 「EXIT」より)
3. HEAVY DRINKER (2012.01.18 「B(S)T」より)
4. 青春 (2012.04.25 「LOST&FOUND」より)
5. NO FUTURE (2012.04.25 「LOST&FOUND」より)
6. 虹 (2013.02.13 「FLAGSHIP」より)
7. アニバーサリー (2013.02.13 「FLAGSHIP」より)
8. 希望の詩 (2015.11.18 「BACK BAD BEAT(S)」より)
9. 愛しい人よ ~2018ver. ~
10. 休みの日 ~2018ver. ~
11. 言葉につまる ~2018ver. ~
12. One-Way ☆新曲
〈DISC3〉
JUN SKY WALKER(S) COUNTDOWN LIVE 29/30 XXX
(2017/12/26.27 @渋谷Lamama)
01 カギは誰が (2017/12/27)
02 だから自由はここにある (2017/12/27)
03 カステラ (2017/12/26)
04 JACK&BETTY (2017/12/26)
05 誓いを立てて (2017/12/27)
06 EVE&LOVE (2017/12/27)
07 遠くへ行かないで (2017/12/26)
08 BAD MORNING (2017/12/27)
09 その日まで (2017/12/27)
10 ロックンロール☆ミュージック (2017/12/26)
〈DVD収録曲〉初回限定盤のみ
Live TOMATO JUN SKY WALKER(S) (C) tvk
#113 1988.12.31 OA
Live TOMATO SPECIAL’ 88-‘ 89 at 新宿コマ劇場
1. 全部このままで
2. いつもここにいるよ
3. だけど一人じゃいられない
4. ガラスの街
5. SUICIDE DAY
6. ひとつ抱きしめて
7. すてきな夜空
8. MY GENERATION
#133 1991.11.26 REC
Live TOMATO at 日清パワーステーション
1. START
2. つめこんだHAPPY
3. 風見鶏
4. だから自由はここにある
5. ひとつ抱きしめて
6. エンジェル
〈通常盤特典〉
ジュンスカにとって最後の原宿ホコ天となる貴重映像特典付き
※指定のAR読み取り専用アプリを使用した動画特典
■ツアー情報
『JUN SKY WALKER(S) 30周年記念ツアー』
2018年
9月29日(土)東京 渋谷CLUB QUATTRO
10月5日(金)北海道 旭川CASINO DRIVE
10月6日(土)北海道 札幌BESSIE HALL
10月20日(土)宮城 仙台MACANA
10月21日(日)福島 郡山CLUB #9
10月27日(土)千葉 柏DOMe
11月10日(土)埼玉 HEAVEN’S ROCK Kumagaya
11月17日(土)大分 別府COPPER RAVENS
11月18日(日)長崎 DRUM Be-7
12月9日(月)神奈川 F.A.D YOKOHAMA
12月15日(土)長野 長野CLUB JUNK BOX
12月16日(日)新潟 新潟GOLDEN PIGS・BLACK STAGE
12月22日(土)鹿児島 鹿児島 CAPARVOホール
12月23日(日)熊本 熊本B9.V1
2019年
1月12日(土)愛媛 松山WstudioRED
1月13日(日)高知 高知X-pt.
1月19日(土)愛知 ElectricLadyLand
1月20日(日)静岡 Live House 浜松 窓枠
1月26日(土)兵庫 神戸VARIT.
1月27日(日)石川 金沢van van V4
2月10日(日)岡山 livehouse IMAGE
2月11日(月・祝)鳥取 米子laughs
2月16日(土)山梨 甲府KAZOO HALL
2月23日(土)栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya
3月2日(土)福岡 DRUM Be-1
3月3日(日)広島 Cave-Be
3月16日(土)岩手 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
3月17日(日)青森 青森クォーター
3月23日(土)京都 京都磔磔
3月24日(日)梅田CLUB QUATTRO