MIYAVIがhide「ピンクスパイダー」をカバーする意義 “音楽”を開拓してきた二者の共通点を探る
hideとMIYAVIに共通するもの
ちょうど10年前、MIYAVIはインタビューで「俺はやっぱhideさんのようにはなれないし。でも俺にもhideさんにできないものもできるかもしれない。生き方も、プレイスタイルにしてもそうだし、今それを模索しながら確立している最中」(『ROCK AND READ』018/2008年5月12日刊行/TOKYO FM出版)と語っていた。hideという圧倒的な存在があったからこそ、自分のオリジナリティとは何か、自分にしかできないことは何なのかを、MIYAVIはストイックに模索してきたのだろう。その中で、ギターをスラップするプレイスタイルが生まれ、ヴィジュアル系にブラックミュージックまでをも取り込んで新しいサウンドを確立させた。そうやって自身の音楽性をより豊かにすることで、リスナーの音楽体験の幅を広げようとしたところには、hideのDNAを強く感じる。
さらに、現在のMIYAVIのグローバルな活動もまた、hideと通ずるものがある。前途した、hideのユニットzilchなどはまさに海外を視野に入れた活動だったろう。hideの企みの全貌を見ることは叶わなかったが、世界で活躍する日本のミュージシャンという夢はまさに、MIYAVIに引き継がれているのではないだろうか。音楽性やプレイスタイルこそ違えど、音楽に取り組む姿勢や精神にはやはりhideとMIYAVIは共通するものがある。 そして、一時はhideからもヴィジュアル系からも距離を置いたようにも見えたMIYAVIだが、独自のスタイルを確立した今だからこそ、hideの代表曲である「ピンクスパイダー」をカバーしたのだろう。