けやき坂46が見つけた自分たちの”色” 3日間に渡る武道館公演を機に紐解く

”ひらがな色”に染め上げる

 上下二段に分かれた舞台、そして中盤にユニット曲を立て続けに披露して最後に「太陽は見上げる人を選ばない」で本編を締めるセットリスト。これらは昨年の欅坂46が開催した夏の全国ツアー『真っ白なものは汚したくなる』を彷彿とさせるものだ。当然それらはただの模倣ではなく、漢字欅の背中を追ってきた彼女たちがその軌跡を追体験するものとして組まれていたように思う。そしてステージの使い方、カラフルな(真っ白ではない!)幕やエンドロールを流す演出、曲中で登場したパフォーマーも本編の終了時に挨拶に参加したりするなど、けやき坂46の独自性をそこにプラスしていた。いわば、漢字欅がたどった跡を”ひらがな色”に染め上げたのだ。だからこそ、2期生を含めたけやき坂46全員による「NO WAR in the future」の振り付けやフォーメーションの一つひとつに漢字欅の面影を見て取ることで、かえって彼女たち自身が持つ”色”を発見できて我々は興奮を覚えるのだろう。

新曲「イマニミテイロ」

 アンコールで披露した新曲「イマニミテイロ」は表面的には下剋上の歌だが、扇情的なタイトルや歌詞に反して優しいピアノが印象的な曲調で、今まで抑え付けていた感情を穏やかに告白していくような曲になっている。この曲の直後、佐々木久美はMCにて「いま武道館に立っている私たちにとって、とてもリンクした大切な曲です」と説明した。持ち曲やチャンスが少ないなかでここまでひたむきに活動してきた彼女たち。今回の武道館3日間で彼女たちはようやく自分たちの”色”を見つけられただろう。

 単独でのアルバム発売も発表され、今年のけやき坂46の注目度はさらに高まりそうだ。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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