渡辺志保の新譜キュレーション 第12回
2018年もヒップホップシーンにはビッグウェーブが訪れる 渡辺志保が選ぶ、注目の新譜5選
年が明けて約1カ月が経つ頃ですが、今年もヒップホップ界隈はやかましくなりそうです。今回は、2018年を大きく動かしそうなヒップホップシーンの新作を5作紹介します!
まずは、シカゴ出身の強烈なフィメールMC、カップケイクから。英語の表記はcupcakKeですが、おそらくアメリカでも(一部のポルノで)人気のワードである“bukkake”に引っ掛けていると思われます。2016年頃からシーンで注目を集め始めた彼女(ちなみに本名はエリザベス)。同じシカゴで生まれ、扇動的なギャングスタラップのジャンルであるドリルミュージックをポピュラーにしたチーフ・キーフとは同じエリアで育った幼馴染とのこと(R.I.P フレド・サンタナ!)。
そして、今年初盤のビッグリリースといえば、アトランタのラップトリオであるミーゴスの新作アルバム『C U L T U R E 2』です。ちょうど1年前に発売された『C U L T U R E』は、彼らにとって初めてのナンバー1・ヒットアルバムとなり、第60回グラミー賞でもベスト・ラップ・アルバム部門にノミネートされるほどの評価を受けました。昨年10月に発売したリードシングル「MotorSport」はメンバーのオフセットの彼女でもあるカーディ・B、そしてニッキー・ミナージュというフィメールMC二大巨頭をゲストに迎えて話題になり、続いてリリースした「Stir Fry」は、なんとファレル・ウィリアムスによるプロデュース楽曲。『C U L T U R E 2』はいつも彼らの作品に参加しているメトロ・ブーミンやマーダー・ビーツといった人気プロデューサーらのほか、マイク・ディーン、そしてアディショナルプロデューサーとしてカニエ・ウエストらも参加。そして、豪華なゲストのメンツにはドレイクやタイ・ダラー・サイン、ポスト・マローンに21サヴェージといったトップヒットを放つ人気ラッパーたちばかりが名を連ねており、より本格的に全米、いや世界的なブレイクを後押しする作品になっています。驚くべきことに(!)、彼らにとっての初来日公演も発表されたばかりで、今年は日本でもミーゴスの名前が大きく轟くのでは。