欅坂46、日本武道館3days公演への期待 これまでのワンマンライブと2017年の動向から考える

 欅坂46が、1月30日、31日、2月1日に日本武道館で3daysライブを開催する。ライブ開催に先駆け、1月6日にAbemaTVで『欅坂46メンバーが振り返る! 初ワンマンLIVE 完全版放送!』が放送された。武道館ライブが急遽発表された際はメンバーの体調を不安視する声もあったが、同放送を機に3daysライブへの期待が膨らんだファンも少なくないだろう。

欅坂46『風に吹かれても』

 同放送は、2016年12月25日に有明コロシアムで行われた欅坂46の初ワンマン公演を観ながら、織田奈那、齋藤冬優花、守屋茜が当時の様子を振り返るというもの。ライブは、彼女たちの成長がまとめられたオープニング映像が流れ、「大人は信じてくれない」からスタート。曲の終わりに平手友梨奈が「有明コロシアム、かかってこい!」と叫ぶ様子は、今考えると欅坂46の未来を示したようなシーンに思えた。同ライブは、パフォーマンスや演出面においても初ワンマンとは思えないクオリティの高さを見せつけ、当時の彼女たちが持っていたすべてを出し切ったのか、ライブの最後に覗かせたメンバーの笑顔も輝いていた。齋藤がこのライブをメンバーみんなで観たいと言っていたのも頷ける。同ライブの放送自体は3回目にも関わらず、『2017 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)や『第68回NHK紅白歌合戦 夢を歌おう』(NHK総合)の効果もあってか累計130万人ほどが視聴。「平手の笑顔がかわいい」「この時が最高」と言う人もいれば、「2018年の成長した姿に期待する」という声もあがるなど、コメント欄も新旧のファンが入り乱れ大いに盛り上がっていた。

 ただし、この映像は約1年前の欅坂46の姿。2017年はメンバーがより一層ストイックになり、アイドルの枠を超えるようなパフォーマンスを追求した。その分、メンバーへの負担も大きく、『夏の全国ツアー』や『NHK紅白歌合戦』の様子を見ても疲弊しているのが明らかだった。「今の彼女たちに3連続公演を乗り切る体力はあるのか?」という疑問の声が上がったのも当然と言える。しかし同放送の翌日に、30日はけやき坂46、後の2日間は欅坂46のワンマン公演と、2グループに分けたスケジュールが発表された。ひらがなけやきが漢字欅よりも先に日本武道館で単独ライブをするのは驚きだが、けやき坂46にとっては改めて漢字欅との差異を見せるチャンスになる。

 1月9日に発売された日刊スポーツのインタビューで小林由依は、「漢字(欅坂46)の単独って、厳密に言えばこれまでやったことがないんですよ。ずっとひらがなちゃんが一緒にいたので。デビュー前の東京国際フォーラムライブでも、当時ひらがなけやきだった(長濱)ねるがいたし。だから、漢字だけの世界観とか、漢字だけでもこういうことができるんだ、というのも見せていければいいなと思っています」とコメントしている通り、まだ詳細発表はないが漢字欅のみの新しいライブパフォーマンスへの期待も高まっている。『夏の全国ツアー』最終公演は、欅坂46とけやき坂46が一緒に歌う「W-KEYAKIZAKAの詩」ではなく「不協和音」で幕を閉じた。これが平手の提案によるものだったことが後のインタビューにて語られている。いつもとは違うこの演出は、今思うと漢字欅の独自の世界観を前面に出していこうという意思の表れとも取れる。けやき坂46もワンマンライブで経験を積み、追加メンバーの加入で総勢20名のグループとして成長した今、真っ向勝負の時がついに来たのかもしれない。

 では、漢字欅の世界観とは一体どういうものなのだろうか。長濱ねるは欅坂46の特徴について、「受け手の方がいろいろ想像するというか、良くも悪くも実態が分かりづらいところかな。同じものを見ても違うふうに捉えるのって、実は特徴なんじゃないのかなと最近すごく思うんです」と回答。(参考:『BRODY 2月号』)一方、秋元康も『クイック・ジャパン vol.135』のインタビューで「バラバラの個性が乱反射した状態のまま、ひとつの集団になっている。ひと言でいうと、純粋すぎて混ざり合わない」と、彼女たちの魅力を解説していた。さらに『欅坂46メンバーが振り返る! 初ワンマンLIVE 完全版放送!』のコメント上でも、「サイレントマジョリティー」と「世界には愛しかない」という趣の違う2曲でファンの好みが分かれていたのも印象深い。もしかすると、ファンの中でも理想とする欅坂46像が統一されていないのかもしない。

関連記事