M!LKが、結成3周年アニバーサリーライブで見せた“覚悟”と5人の“強さ”
「このライブに3年間を詰め込みたいと思います」(板垣瑞生)
2014年に結成し、翌年にシングル『コーヒーが飲めません』でCDデビューしたM!LK。ドラマ『精霊の守り人』(NHK総合)チャグム役で活躍中の瑞生や、昨年の『砂の塔〜知りすぎた隣人』(TBS系)以降は出演作ラッシュの佐野勇斗ら人気の若手俳優を擁する彼らだが、最近はユニットとしての成長も著しい。この度行われた『M!LK 3rd anniversary「白黒牛乳ワールド in パシフィコ横浜」』は、彼らの結成3周年を祝うと共に、M!LKとは正反対のコンセプトを持つ「BLACK M!LK」との対バン(?)というユニークな趣向の一夜となった。
この日はステージ奥の白いカーテンが開くと、5人が最新アーティスト写真のカラフルな玉座にまったく同じポーズで座っている……というシチュエーションからライブがスタート。1曲目の「白黒Brand New World」から7曲目の「May」までは、リリースしたばかりの1stアルバム『王様の牛乳』収録曲を中心とした構成だ。彼らの持ち味の一つであるコミカル感で惹きつける「ゲンキデスカ?」のほか、5人の歌声をストレートに届ける「Now Story」や「May」など、高校生&大学生に成長した彼らの等身大のイメージを反映した楽曲が並ぶ。
最初のMCで約3000人のみ!るきーず(M!LKファン)を見ながら、「すごいですね……」としばし感慨にふけった5人。気持ちを込めた冒頭の発言に続いて、イントロで大きな歓声が上がったのが、彼らが結成当初から披露してきた大切な一曲「miruku!」。友情をテーマに山﨑悠稀が書いた詞に合わせ、メンバーとみ!るきーずが<ずっとこのままで>でピースを作る振りなどをシンクロさせていく様子はなかなか壮観だ。シーズン的にもぴったりな「Milky Snow」では元気よくコールを入れつつ、両手のペンライトをゆっくり下ろして雪の降る様子を表現するみ!るきーずたちのノリの良さも光った。
ライブ初披露となった「May」でひとしきり客席を沸かせたあと、1人ステージに残った悠稀がソロナンバー「ラブソングが歌えない」を歌い始める。デビュー当時より深みのある歌声を聴かせるようになり、“何色にも染まることができる”のがコンセプトのM!LKの中でも、もっとも変幻自在な存在といえる彼。妖精のように軽やかなダンスでも観客を惹きつけていた。続く吉田仁人のソロナンバー「Tuna-ight」ではやや低音の歌声とジャズ系のしなやかなダンスで会場の空気を一変させた。「ずっとやりたかった」(エンディングのMCより)というバラをくわえてのパフォーマンスも含め、彼の“ひとり宝塚”的優雅さを堪能できるのもワンマンならではの楽しみだ。瑞生&勇斗の通称“いたちゃの”コンビは切なさを含むメロディに、2人の力強いユニゾンが映える「ひこうき雲」を披露。繊細さをはらんだ瑞生の歌声はもちろんだが、他の曲ではどちらかといえばラップやセリフなど盛り上げ担当に回ることの多い勇斗の歌がしっかり聞けるのも嬉しいポイントだ。
2人がステージからはけたあと、ステージ上のスクリーンには「ARE YOU READY?」の文字が。ここから、この日のハイライトの一つといえるBLACK M!LKのコーナーに突入していく。今春の全国ツアー『Mow Mow DREAM ~超B!Gな牛になりたい~』最終日に初めてその姿を現し、彼らが所属するEBiDANのフェス『EBiDAN THE LIVE』でも会場を大いに沸かせた5人は、真っ赤なライトに照らされ挑発的な表情を見せる。
「Charge」では瑞生、勇斗がワイルドなユニゾンを響かせる中、悠稀、仁人、塩﨑太智の3人がフロア技などを含むストリート系のパフォーマンスを展開していく。ここでダンサーに徹する3人の身体のキレはもちろん、眼光の鋭さも強く印象に残った。M!LKの合わせ鏡的な彼ららしい言葉遊びが光る「More」では、仁人のダイナミックなソロや腰をくねらせるような5人の動きに黄色い悲鳴が上がる。
と、ここで太智のソロコーナーがスタート。M!LKの春ツアーでもマーシャルアーツを取り入れたソロでインパクトを与えた彼だが、BLACK M!LKとしてはポップやクランプ風の動きにアクロバットも織り交ぜた、縦横無尽なダンスでみ!るきーずたちを圧倒していく。
終盤でシャッフル調の「HYBRID」、激しい5人の動きがバチッとシンクロする「Don't look back」という2曲の新曲も披露したBLACK M!LK。この5人の持つ振り幅やポテンシャルの高さを見せつけられた気がした。