三代目JSB、G-DRAGON、赤西仁……優れたトラックメイカーのサウンドが楽しめる新作

坂本龍一『ASYNC - REMODELS』

 “asynchronization=非同期”をメインテーマにした坂本龍一の8年ぶりのオリジナルアルバム『async』の楽曲を国境、ジャンルを超えたアーティストたちがリミックス、坂本龍一自身がプロデュースを手掛けた作品『ASYNC - REMODELS』。映画『GOOD TIME』のサウンドトラックを手がけたOneohtrix Point Never、ビョークとのコラボレーションで知られるアルカ、日本からはコーネリアス、さらに日本盤ボーナストラックには空間現代が参加。当然、トラックによってサウンドの方向性、コンセプトはまったく異なるが、現代音楽、ノイズ、ミニマルミュージックなどを自在に行き来するような感覚は、“音楽とは何か?”という根本的なテーマへとナチュラルに帰結していくはず。哲学的な思考を巡らせながら、じっくりと時間をかけて堪能してほしい。

Ovall『In TRANSIT [Deluxe Edition]』

 Shingo Suzuki(Ba)、mabanua(Dr)、関口シンゴ(G)によるバンドプロジェクト、Ovallが4年ぶりに再始動。全員がプロデューサーであり、トラックメイカーであり、優れた演奏家である3人のケミストリーの結晶とも言える本作『In TRANSIT [Deluxe Edition]』は、ロバート・グラスパー、フライング・ロータス、カマシ・ワシントン、シャイ・マエストロあたりの現代的なジャズ、R&B、ヒップホップと重なりながら、“有機的なテクノロジー”と呼びたくなるような手触りのサウンドを描き出すことに成功している。DISC2には、grooveman Spot、RLP、45 a.k.a. SWING-Oといった気鋭のクリエイターたちのリミックスを収録。ジャンルを超越した、刺激的な解釈によるトラックを堪能できる。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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