『10th ANNIVERSARY TOUR ONE MAN SHOWS -FAITH LAST FOREVER-』レポート

Crossfaithが10周年ツアーで見せた“信念” 初日公演をいち早く分析

 話題をZepp Tokyo公演に戻そう。この日の選曲で興味深かったもののひとつが、「Revolution」のKsuke Remixだろう。ライブではデジタル配信されたこのリミックスバージョンをもとに、生バンドらしいダイナミックスをミックスした、ライブならではのスペシャルバージョンを楽しむことができた。単に激しくヘッドバンギングするだけでなく、体を気持ち良く揺らしながらダンスすることもできる。このリミックスのみならず、Crossfaithの楽曲はこういった汎用性が高いことも他のメタル/ラウドロックバンドとは異なる点だろう。そういった個性も、先の海外での経験が大きなきっかけになったことは間違いない。

Tatsu(Dr)

 そして、終盤には最新シングル『FREEDOM』からの極悪メタルチューン「Diavolos」が登場。ところどころに柵が設置されており、思うようにフロアに空間を作れない状況ながらも、オーディエンスはKoieの呼びかけに応えてウォール・オブ・デスを展開する。この異様な空間を前に、Koieが「ようこそCrossfaithのライブへ!」と口にしながらニヤリと笑った姿を目にしたときは、思わずゾクゾクしてしまった。その後もKoieやTeru(Prog, Vision)がステージダイブを敢行し、大きな盛り上がりを見せる場面も。最後に「俺たちが進んできた10年は間違ってなかったと今この瞬間、実感できました。この先10年、20年、俺たちが死ぬまで、最後までついてきてくれよ!」とメッセージを残して、激アツのツアー初日を大成功のうちに終了させた。

Hiro(Ba)

 「信念は決して消え去らない」というサブタイトルを付けた今回のワンマンツアーは、まさにCrossfaithというバンドがどこから現れ、現在どこに立っており、そしてこれからどこに向かおうとしているのか、その彼らの強い信念が提示されたものだ。KoieはMCで「俺たちがステージに立ち続ける以上、信念は死なない」と力強く語ったが、彼らが日本や海外でライブをし続けることこそが、彼らがここに存在する意味であり、彼らの信念を証明するアクションなのだと、この日のライブを観て再認識した。

 その信念は、ツアーの合間となる12月3日に新木場STUDIO COASTで開催される主催イベント『ACROSS THE FUTURE』でも垣間見ることができるだろう。そして「未来の向こう側」と題したこのイベントと『FAITH LAST FOREVER』と題した10周年ツアーを経て、Crossfaithは確実にさらなる高みへと到達することになるはずだ。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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