『G-DRAGON 2017 WORLD TOUR ACT III, M.O.T.T.E』東京ドーム公演レポート(9月20日)
G-DRAGON、力強いパフォーマンスで示した音楽への愛 『M.O.T.T.E』東京ドーム公演レポート
G-DRAGONとクォン・ジヨン、愛情と孤独、生と死……幾重にも分裂した自己を救うものは何なのか? 今回のライブがG-DRAGON史上で最も優れたものになったのは、その答えを彼が明確に掲げたからだ。それこそが「音楽」なのである。
「THAT XX」と「BLACK[feat.BOM(from 2NE1)]」というスロージャムな2曲が、ライブ中盤で披露された。どちらの曲も、絶望の底に沈み込んでいく主人公の姿が描かれている。しかし、今回のライブでこの2曲が表現したのは、「痛みを救うのは、唯一音楽だけである」というメッセージ。それを証明するためにG-DRAGONは、あらゆる感情をボーカルパフォーマンスで静かに爆発させ、この2曲をソウルミュージックの域にまで高めていた。それと同時に、音楽によって救われることへの喜びが生まれ、それをみんなに共有してほしいというG-DRAGONの真っ直ぐな意思が歌に表れていた。
アンコールでは、BIGBANGのV.Iが登場。G-DRAGONとV.Iによる爆笑トークやBIGBANGメドレーによって、それまでの張り詰めた緊張感から観客は解放された。この笑顔で溢れたひと時は、これまで背負い続けてきたエンタテイナーや表現者としての重圧から、G-DRAGONが解放されたことを表しているようにも思えた。
このライブの2日後、G-DRAGONが2018年の春から2年間の兵役に就くことが発表された。少年から青年へ。今回のライブは、自身の人生の未来を音楽へと託した、生々しくも力強い、完璧なロックコンサートだった。
(取材・文=ターボ向後)