ニューロティカが語る、地元八王子でフェス開催の理由とクラウドファンディングとの距離感

ニューロティカ、地元フェスへの思い

 ニューロティカが、観覧無料の『八王子ポカポカフェスタ』を開催することを発表した。同フェスは、八王子市市制100周年を祝うべく、八王子市狭間エスフォルタアリーナにてニューロティカ・アツシが先導して行うイベント。同市の観光PR特使でもあるニューロティカの「何かお祭り&お祝いをしたい!」という思いがきっかけとなっており、巷にある音楽フェスとは違った、いろんな分野の人が楽しめるフェスを目指し、子供から大人までが気軽に参加できるようにと入場無料で開催する。

 今回のインタビューでは、イノウエアツシの地元でフェスを開催することになったきっかけや、CAMPFIREにてスタートしたクラウドファンディングプロジェクトについて、周囲の意見やバンド内で起こった葛藤、それでも開催へ向けて動く理由などについて訊いた。(編集部)

「なにせここ数年、急に八王子に来る回数が多くなった」(KATARU)

ーー今回は『八王子ポカポカフェスタ』を開催するためのプロジェクトですが、これは前回インタビュー時の『新宿アルタ前でフリーライブをやるぞプロジェクト!「アルタdeニューロティカ」』から繋がっている企画なんですよね?(参考:ニューロティカ&bambooが考える、老舗バンドこそクラウドファンディングを使うべき理由

アツシ:そうです。昨年9月、「八王子市制100周年ロックンロールプロジェクト」を勝手に立ち上げて、全国津々浦々と八王子が市制100周年であることを知らしめる伝道師となってきました。

ーーアルタ前でのフリーライブは、X JAPANやブリトニー・スピアーズの動員記録を更新する2800人が集まりました。

NABO:ピエロだから注目されてたのかな(笑)。

アツシ:いやー、ビックリしましたね。新宿LOFTが待機場所だったんですけど、行くまでは不安で仕方なくて。いざステージに立ってみたら人の多さに泡食っちゃいましたね。

NABO:元々知ってた人は半分以下くらいで、みんな足を止めて見てくれてたもん。

アツシ:ライブの次の日、見たこと無いOLの人がウチの店に来てくれて「昨日アルタで観ました!」って言ってくれたり、何人も「初めて観ました」って声を掛けてくれて。

ーーフリーライブを機に知ってくれた方も一定数いたということですね。今回のコンセプトには「パンクロックの魂で、このニューロティカを生み出すきっかけとなった我が地元の八王子で皆に楽しんで欲しい」とありますが、4人にとって八王子はどのような街ですか?

アツシ:昔ですと織物の町だったんですけど、今は織物も衰退し、大学が東京で一番多い「学生の街」になったといえるかもしれません。でも、緑も商店街も、高尾山も浅川も東京サマーランドもあって、色んな楽しさを体感できる町だと思います。

ーー八王子出身でない他の3人にとって、八王子と密接に関わるという経験はレアだと思うのですが。

KATARU:できない経験をさせてもらっているというか。地元じゃないからこそ楽しんでやらせてもらっています。なにせここ数年、急に八王子に来る回数が多くなったからね。

NABO:まあ、でもこのバンドはあっちゃんがトップだから、その地元だということで必然的に受け入れてるし、エセ八王子市民みたいな感覚ですよ(笑)。

JAMES:僕は加入したのが3年前で、入った途端に観光特使になったんですよ。その任命式も仕事で行けていないこともあり、一人だけフワフワしてます(笑)。

ーー八王子といえば、後輩にあたるグッドモーニングアメリカが自身のフェス『八王子天狗祭』を開催していますよね。昨年はニューロティカも出演しました。

アツシ:すごいですよね。純粋に尊敬します。他のバンドもツアーに八王子を組み込むことも増えてきたりして、これまででは考えられなかった現象が八王子に起こっているなと思うし、僕自身もそれを見て発奮したところはあります。正直、地元でライブをやるのは恥ずかしい部分もあったんですけど、お店に「この間ライブ見たよ!」って来てくれる方も増えて、それが嬉しかったりもしたので、恥ずかしがってられないなと。

JAMES:まだピエロで八王子を歩くのは抵抗ありますか?

アツシ:あるよ! さっき(撮影後)も周りからメンバーとスタッフが居なくなって焦ったんだから(笑)。

ーープロジェクトページには『小さなお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、誰もが楽しめる「夢のネバーランド!!」』とあったり、入場料を無料にしたりと、「フェス」というよりはボーダーのない地域の祭事というようなラインナップですよね。

アツシ:音楽だけじゃないものにしよう、という構想は前からありましたね。

NABO:違うジャンルに興味を持っているひとも集まって欲しかったので。

アツシ:33年間パンクロックを一生懸命広めてきたんですけど、まだ広めきれてないと感じているところもあって。何年かくらい前から、大手にも所属しない僕らにスポットを当てる人も出てきてくれたり、町の人たちも薄々「何かやっている人だ」と感じ始めてはいるものの、もう一息だなと。

NABO:同じPR特使であるバスケットボールチーム・東京八王子トレインズの試合を見に行ったのも、大きなきっかけになっていて。試合自体がものすごい盛り上がりで、自分たちと一緒に何かできないかと考えて、テーマソングの作成やフェスの開催を考えるようになりました。

KATARU:試合を見に行ったら、すごく面白くて。迫力もあって。その時の感じを忘れないうちに曲を考えたんですよ。

NABO:DJやMCがいて、空き時間には観客の所まで行って煽ったり、曲をガンガンかけているのはスゴかったね。

JAMES:クラブみたいな感じでした。若い子たちもいっぱい来ていて。

ーー音楽イベントにも通ずる部分があったんですね。ニューロティカのクラウドファンディングはこれで3回目ですが、以前にインタビューでも話していただいたように、「もともとクラウドファンディングありきというより、まずはやろうと思い立って、手段を探した結果行き着いた」というのがこれまでの動機でした。今回も同じでしょうか。

アツシ:その極みといってもいいでしょうね。そもそもは協賛だけで開催しようとして、半分のところまでは頑張って集めたけど、これ以上は自分たちだけの力じゃダメだと思ったので、bambooに相談しました。

NABO:毎日色んなところを回ってるんだよね。今日も行くんでしょ?

アツシ:そう。各所にお願いしてきます。

ーーbambooさんに相談したのは、どのくらいの時期だったんですか?

NABO:8月後半くらいかな。イベントをやること自体は前から話していたけど、しばらくは相談もせず、ちょっと先行きが見えなくなってきたタイミングで「やっぱりクラウドファンディングをやろうかなと思ってる」と。そこから彼には「どういうことをやりたいのか」を細かく聞かれて。「その考え方は曖昧だ」「ここは甘い、これじゃ支援してもらえない」みたいな指摘も遠慮なくくれるし、それがあってやっと今の感じになってると思います。bamboo自身も、何でも関わってくれるのではなく、ダメなものには手を出さないんですよ。一緒にやってくれるとなると、ホントに色々考えてくれてる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる