「テレビが伝える音楽」第4回:日本テレビ 演出/プロデューサー・利根川広毅氏

日テレ音楽特番『THE MUSIC DAY』総合演出が語る、アーティストの魅力伝える映像へのこだわり

特番を通してミュージシャンたちの新しい魅力をどう届けるか

ーー改めて利根川さんが描く音楽特番の理想とはどのようなものでしょう?

利根川:『THE MUSIC DAY』には「年に1回ぐらい音楽漬けになろうよ」ということが根底のテーマにあると思っています。「テレビだからより分かりやすく、より派手に」を意識しつつ、素晴らしいミュージシャンたちが脚光を浴びる日にしたい。特番は多くの視聴者の注目が集まる場でもあるので、新しいスターを生み出したり、もう一段上のレベルに引き上げたりしたいですね。……テレビマンとしては正しくないかもしれないですけど、音楽や音楽業界全体が活性化するための力になりたい。視聴率が取りたいって、本当は言わなきゃいけないんでしょうけど、結果として視聴率が取れればいい。なんとか音楽の魅力を伝えていく。その結果、人がたくさん集まったという番組にしたくて。そのためにも、ブッキングは頑張らなければいけないなと思っています。

ーー良い番組を作って、結果、数字がついてくる。

利根川:それが理想ですよね。数字を追い求める中にミュージシャンを置くと、時に傷つけてしまうことがあるので、そういうことからはミュージシャンを守らなければいけない。紹介のVTRを面白くおかしく作らなきゃいけないみたいな、テレビの常識にはめることによってファンや本人が「だからテレビは出たくないんだ」って思うかもしれない。あと、特番ってどうしても披露する曲が名曲や代表曲に寄りがちで。視聴率だけを考えたら、大ヒット曲をとにかく並べるのがたぶん正解なんですよ。でも、そうではなく、僕はどうやって特番を通してミュージシャンたちの新しい魅力を届けるかを考えていきたいんです。

ーー今年の『THE MUSIC DAY』は新曲の初披露が多かったですよね。

利根川:周年を迎えた方や大ヒット曲を歌うべき人もなかにはいます。でも、日テレの特番は容赦なく新曲を歌わせてくれるとミュージシャンや視聴者の方々に思っていただけるようになったら嬉しいです。

ーー年末も近づいてきていますが、冬の音楽特番『ベストアーティスト』の放送予定は?

利根川:まだ番組の有無も情報が出ていないので、方向性ははっきり言える段階ではありませんが、またやるとなれば『THE MUSIC DAY』とはちょっと違う攻め方にはなるかなと。年末のイベントなので、どうしても今年の総ざらい的なことにもなるのですが、またみなさんを驚かせたり、楽しませることができるといいなと思っています。

(取材・文=久蔵千恵)

■利根川広毅
1977年生まれ。フリーランスとして、日本テレビの各音楽番組の演出、WOWOW『グラミー賞授賞式』等の総合演出を経て2013年日本テレビ放送網入社。『LIVE MONSTER』『THE MUSIC DAY』『ベストアーティスト』等の演出を担当。2015年4月から『バズリズム』を企画、演出。

■番組情報
『バズリズム02』

<放送日時>
毎週金曜24時59分~25時59分
※各地域で放送日時は異なる

<MC>
バカリズム

<ミュージックサポーター>
マギー

<進行>
佐藤梨那(日本テレビアナウンサー)

<番組概要>
アーティストが兼ね備える「集中力」や「のめりこみ」は、当然「音楽」に注がれる。だからこそ、一流に駆け上る。そのパワーは、別の分野にも注がれていることが実は多い。しかも、本人は全然フツーと思っていても、周りから見ると驚きに満ちていて…!番組では、誰もが知っているアーティストの音楽活動=A面だけでなく、人知れぬ意外な性質=B面をピックアップ。観終わると、思った以上に、思いのほか、アーティストの魅力に気付き、アーティストが好きになってしまうのです!

<初回放送>
10月6日(金)25時29分~放送
※30分押し

メインゲスト:上原ひろみ
ゲスト:KANA-BOON、Sexy Zone、BiS、モーニング娘。‘17 ほか ※50音順

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