乃木坂46 伊藤万理華が積み上げてきた“個性”とは? 香月孝史が卒業発表を機に振り返る

 グラフィックデザイナーの父とファッションデザイナーの母を持つ伊藤は、アート・ファッション方面でも個性を発揮していた。

「乃木坂46にはファッション誌の専属モデルも多く在籍していますが、ファッションとの関わりにおいても彼女は独特な存在です。雑誌『装苑』などで幅広くクリエイターとの親和性を発揮し、『月刊MdN』の連載『MARIKA MEETS CREATORS』では、毎回さまざまなジャンルのクリエイターとの対談を行なっています。『月刊MdN』の連載にはライターとして立ち会っていますが、対談相手に敬意を払いながら毎月相当の準備をしているのがわかります。また、この連載では毎回、衣装が伊藤さんの私服なので、伊藤さん自身がスタイリスト兼被写体としても登場することになります。誌面でお伝えできる内容以上に、伊藤さんは多方向に頭を使って取材に臨み、いくつもの役割をこなしている。その姿勢には頭が下がります。個人的にも、彼女の興味関心の広さのお陰で、さまざまなクリエイターの表現を取材する機会をいただけているのはありがたいことです」

 最後に、個人としても功績を残しつつ、グループの後進にも道を作ったメンバーだと香月氏は語る。

「個人PVやアンダーライブ、舞台公演などで名を上げながら自身の適性が発揮できる場を開拓し、それが次なるキャリアへの足がかりになったことは、グループの後進メンバーにとってもファンにとっても希望になるはずです。今回の個展は乃木坂46在籍期間の集大成ではありつつも、彼女が自由にアウトプットしていく上では、ほんのはじまりに過ぎないのかもしれません」

 マルチに才能を発揮する伊藤は今後、どんなキャリアを歩み、可能性を広げていくのか。その答えはもしかすると、個展『伊藤万理華の脳内博覧会』や『月刊MdN』での連載「MARIKA MEETS CREATORS」のなかにも潜んでいるのかもしれない。

(文=中村拓海)

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