山本彩、EXILE TAKAHIRO、Dream Ami、伊東歌詞太郎…グループを経て発揮されるソロの魅力

 アイドルグループ、ダンスボーカルグループ、ポップユニットなどの中心メンバーとして存在感を示しているアーティスト/シンガーが、ソロ活動を通してさらに個性を発揮するケースが増えている。ソロ活動ではグループ内でのキャラクターとソロとしてのスタイルの違い(ギャップ)が出せるのも、大きな利点。今週は“グループを経たソロとしての表現”を実感できる新作を紹介したい。

山本彩『identity』(通常盤)

 NMB48のリーダーとして6年間グループを引っ張り、2016年にソロデビューアルバム『Rainbow』とともに目標にしていたシンガーソングライターとしての活動をスタートさせた山本彩。昨年行われた最初のソロツアーでもシンガーとしての資質の高さを存分に見せた彼女が、約1年ぶりとなる2ndアルバム『identity』をリリースする。前作に続き、今作も亀田誠治がプロデュースを担当。阿久悠の未発表歌詞に水野良樹(いきものがかり)が曲を付けた昭和歌謡テイストのバラード「愛せよ」、阿部真央の提供による攻撃的なアッパーチューン「喝采」など多彩なアーティストが参加しているが、本作の軸を担っているのは山本自身が作詞・作曲を手がけたオリジナル曲。特に<平気なフリは下手なままでいい>というフレーズを力強く響かせるロックナンバー「JOKER」(詞はいしわたり淳治と共作)、<君は君でいて>と優しく語りかけるピアノバラード「サードマン」など、“自分らしく生きる“をテーマにした楽曲が強く印象に残る。アルバムのタイトル通り、彼女は本作によって自らのアイデンティを示し始めたのだと思う。

[MV] 山本彩 「JOKER」
EXILE TAKAHIRO『Eternal Love』

 2015年に1stアルバム『the VISIONALUX』をリリースしたEXILE TAKAHIROが約2年ぶりにソロ活動を再開。その最初のシングル表題曲「Eternal Love」はオーセンティックなラブバラードに仕上がっている。久々のソロ楽曲の制作に際して彼は“シンガーとしての自分をもっとも活かせる曲とは何か?”という根源的なテーマと向き合ったはず。楽曲の構成段階からプロデューサーの亀田誠治と密なコミュニケーションを取り、メロディ、歌詞、アレンジを練り上げていったという。<変わらない 愛を君に>という驚くほどに率直なフレーズ(作詞はTAKAHIRO)を高らかに歌い上げるこの曲には、シンプルな愛の言葉に説得力を与えることができる、彼本来の魅力がしっかりと表れていると思う。カップリング曲には、彼が初めて作詞・作曲を手がけた「SUNSET KISS」を収録。夏の終わりの海岸で<魅惑の唇に 優しくキスしたい>と語りかけるこの曲からも、彼の人柄がリアルに伝わってくる。

EXILE TAKAHIRO / Eternal Love
Dream AMI『Re: Dream』(CD ONLY)

 2017年7月のさいたまスーパーアリーナ公演でE-girlsを卒業、ソロアーティストとしての本格的なスタートを切ったDream Ami。ディズニー映画『ズートピア』日本語吹替版主題歌「トライ・エヴリシング」、The Cardigansの代表曲をカバーした「Lovefool -好きだって言って-」などシングル5曲を収めた1stアルバム『Re: Dream』には、“E-girlsの金髪の子”というパブリックイメージとは異なる、彼女自身のセンスとキャラクターが存分に発揮されている。それを象徴するのがリードトラックの「Re: Dream」。アコースティックギターの響きとEDM経由のダンストラックがひとつになったサウンドのなかで彼女は、<誰に何を言われたって/ここからまた「Re: Dream」>ときわめて正直なラインを刻んでいる。シングル『君のとなり』のインタビューで彼女は「『自分でやらないと何も始まらない』という考えもあります」とコメントしていたが、「Re: Dream」にはソロアーティストとしての決意が強く示されているのだと思う。決してシリアスにならず、あくまでもポップに表現しているところも彼女らしい。

Dream Ami / Re: Dream

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