レジーのJ-POP鳥瞰図 第20回
Perfumeと星野源、J-POPを開拓する2組に通じる点は? 相思相愛の共演から考える
Perfumeフェスで実現した相思相愛の共演
「アプローチは異なるものの、Jポップに今までにない価値を持ち込もうとしている」「コアな支持を維持しながらマスで戦うスタンスを常に見せている」という部分においてPerfumeと星野源には共通点があり、そういった2組のちゃんとした共演(テレビ番組で一緒になってもパフォーマンスをともに行うことはなかった)を見たいと多くの人が思っていたはずである。9月13日に行われた『Perfume FES!! 2017』の大阪城ホール公演にてついにこの2組の対バンが行われたが、幸運が重なってその場に居合わせることができた。
すでに各所で報じられている通り、この公演では2組の「恋ダンス」での共演が大きな話題を呼んだ。また、アンコールでも2組のコラボが実現している。その内容については、本サイトに掲載されたこちらの記事も合わせてご覧いただきたい。書き添えておくと、「時よ」のラストでPerfumeの3人が何の前触れもなく(といっても星野源の「ひとりで頑張ります」という曲振りがヒントになっていたのだが)ステージに登場した際のどよめき、および「恋」を歌う旨が告げられた瞬間の会場の「爆発」とでも言うべき盛り上がり方は、ここ最近のライブでは体験したことのない空気だった。
今回の記事では、それぞれのステージについて触れておきたい。全国ツアー終了直後に『Perfume FES!! 2017』出演という流れになった星野源は、ストリングスやホーンまでを揃えた「ガチ」のバンドで今回のライブに臨んだ。そこで鳴らされる音楽は、日本の往年の歌謡曲と海の向こうのソウルミュージックがシームレスにつながっていくような素晴らしいものだった。彼のソウルミュージック好きの側面が前面に出る端緒ともなった「桜の森」が音源に比べてかなりパワフルにビルドアップされており、ライブミュージシャンとしての充実ぶりを感じることができた。また、Perfumeは前述した「If you wanna」に加えて、そのカップリング曲の「Everyday」でもトロピカルハウス風味のアプローチを見せ、この先のさらなる新たな展開への期待を振りまいた。一方で、『JPN』収録の「MY COLOR」を久々に披露するなどホームのイベントならではの演出もあり、新旧のPerfumeの魅力を堪能できる非常にバランスの良いステージだった。
Perfumeはこれまでも『Perfume FES!!』でいろいろなアーティストと共演しており、また星野源も自身のラジオ番組において様々なアーティストの音源を紹介している。自分たちの好きな人と一緒にライブがやりたい、自らの好きな曲を知らせたいというピュアな気持ちが活動の端々に見え隠れするアーティスト同士が、相思相愛の関係で同じステージに立ったのはとても貴重な瞬間だった。今回の共演が、双方のアウトプットに何かしら良い影響を及ぼすことを楽しみにしたい。
■レジー
1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題に。2013年春にQUICK JAPANへパスピエ『フィーバー』のディスクレビューを寄稿、以降は外部媒体での発信も行っている。
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