アリババ、バイドゥ、テンセント……発展する中国IT企業 スマートスピーカー市場も激戦に?
年内にAmazon Echoが上陸し、LINEによるWAVEが先行体験予約を開始するなど、徐々に日本国内で盛り上がりを見せるスマートスピーカー。中国では一足先に市場が賑わいを見せている。先月、中国の電子商取引大手・アリババがスマートスピーカーのTmall Genieを発表。(参考:アリババが発表のスマートスピーカー、競争に優位な3つの強み(Forbes JAPAN))音楽を流すなどのほか、ECサイト・Tmallでのオンラインショッピングも可能でAmazon Echoなどとほぼ同等の能力を持ちながら、499元(約8,340円)というEchoよりも低価格で話題となった。
この他にも、ハードウェアメーカーのシャオミがスマートスピーカーのMi AI Speakerを発表、過去にはテンセントがペンギン型のQRobotを発売するなど、各社が音声アシスタントを用いた製品を開発。Amazon Echoの上陸前に、中国国内でスマートスピーカー市場が激戦と化す可能性も指摘されている。
中国ではLINEやTwitter、Facebookなどの利用が規制されている影響もあり、スマートフォンを軸とした文化が独自に発展を遂げてきた。テンセントによる中国版LINEとも言えるSNS、WeChatや、中国版Twitterと言われる微博(Weibo)を筆頭に、スマートフォンによる電子決済サービス・支付宝(アリペイ)と微信支付(Wechat Pay)の普及も著しい。
さらにコンビニの商品などを手軽に届けてくれる出前アプリ・饿了么(アーラマ)、アプリで認識番号や暗証番号をやり取りしてどこでも乗り降り可能な自転車シェアリングサービス・Mobikiなど、日本では未成熟な文化も急速な成長をみせている。こうした例から見ても、これまで磨き上げてきた技術を元に、中国各企業が積極的にスマートスピーカー市場に参入し始めるであろうことは容易に予想できる。
音声技術に関しては、先日NVIDIAと協業してAI開発を加速していくことを表明したバイドゥが、一足先を行っている印象だ。同社はハイクオリティな音声認識機能、ディープスピーチを搭載したロボットとスピーカーの中間的存在・Little FIshを発表しているほか、100以上の声やアクセントを使い分けられる音声合成技術・ディープボイス2も開発(参考:Deep Voice 2: Multi-Speaker Neural Text-to-Speech(Baidu Research))。バイドゥの技術力があれば今後、方言や複雑な言語を理解できたり、キャラクターを自在に使い分ける音声アシスタント製品が登場し、スマートスピーカー市場をより豊かにしていくだろう。現時点ではLittle FIsh、Mi AI Speaker、Tmall Genieは中国のみの発売を予定。しかし今後さらなる発展を遂げた、中国企業による製品が世界市場に参入することも十分ありえる。
スマートスピーカーのみならず、中国各社の音楽ストリーミングサービスの動きも見逃せない。例えば、すでにワーナーミュージック、ソニーミュージック、ユニバーサルミュージックの3大メジャーレーベルとライセンス契約済みのXiami Music。一方、世界に6000万人の有料会員を持つゆえにSpotifyは、ワーナーミュージックとライセンス契約の締結に難航している。