星野源のダンスを“踊りたくなる”理由 「恋」「SUN」「化物」「夢の外へ」の共通点を考察
シンガーソングライター、俳優、文筆家など、マルチな分野で活躍する星野源が、5月17日にミュージックビデオ集『Music Video Tour 2010-2017』を発売した。同作には「くせのうた」「くだらないの中に」といったデビュー初期の名曲から、「化物」「地獄でなぜ悪い」「Crazy Crazy」「SUN」、そしてYouTubeで5月30日現在1億3千万回再生を突破し、大ヒットを記録中の「恋」まで、全13曲それぞれのMVが収録されている。また、各曲の合間に収められた星野自身が撮影時のエピソードなどを交え、コメントしている映像も必見だ。
今回のMV集には、星野のダンスが話題となった楽曲も収録されている。なかでも、社会的ムーブメントを巻き起こした「恋」の“恋ダンス”は、テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)のエンディングで、星野をはじめとした共演者が踊ることで、ブームに火が着いた。ほかにも“恋ダンス”が大流行した理由は「踊ってみた動画」の拡散などさまざま挙げられるが、大きな理由としては、ダンス経験のない人でも「練習をすれば自分でも踊れるかも」と思えるその振付だろう。「恋」の振付は、Perfumeのダンスなどで知られる演出振付家・MIKIKOが担当しているのも有名な話だ。
MIKIKOが振付を行った楽曲はほかにもある。2015年発売の大ヒットアルバム『YELLOW DANCER』に収録されているリードソング「時よ」と、8枚目のシングル曲「SUN」だ。「時よ」では駅の車掌扮する星野と女性ダンサーによるダンス、車掌の敬礼や踏切を連想させる振付が細かく取り入れられているのが特徴。一方「SUN」のダンスは、前半では星野と女性ダンサーが男女の恋の模様を、口を覆う手の角度やずらし方などで表現し、ラストシーンでは星野が8人の女性ダンサーと共にダンスを披露している。彼のしなやかな踊りが歌詞にうまく馴染むことで、視聴者の“踊りたい欲求”をくすぐるのかもしれない。
星野のダンスといえば、ダンサー・井手茂太(イデビアン・クルー)も忘れてはいけない。井手とともに制作した「化物」と「夢の外へ」は、先ほど紹介した楽曲とは少し違ったダンスナンバーとなっている。「化物」ではサラリーマンと思しき星野とダンサーたちがコミカルなダンスで楽曲を表現し、「夢の外へ」ではギター片手に歌う星野の横でスーツ姿の井手が軽やかに踊る。星野は「夢の外へ」のリリース時に、「見ると体を動かしたくてむずむずするようなMVにしたくて、昔から大好きなダンサーさんに踊っていただきました」(参考:http://natalie.mu/music/news/71565)とコメントしていた。その言葉通り、途中から星野もダンスを始め、後半では井手と共に華麗なタップダンスを披露している。
上記で紹介した4曲のMVを改めて見てみると、星野のダンスは「一度だけでもマネしてみたい」という共通点が挙げられる。極端な例を出すと、和製マイケル・ジャクソンと称される三浦大知のような“見ていたくなるダンス”というよりは、星野の場合は”自分自身でも踊ってみたくなるダンス”という親しみやすさがあるのではないだろうか。