宗像明将のチャート一刀両断!

V6『COLORS / 太陽と月のこどもたち』はグループの“静”と“動”を照らすーー収録曲の作家陣に注目

参考:2017年5月1日~2017年5月7日の週間CDシングルランキング(2017年5月15日付・ORICON STYLE)

 2017年5月15日付の週間CDシングルランキングで、1位になったのはV6の『COLORS / 太陽と月のこどもたち』。今回は通常盤に収録されている4曲について触れていきたいと思います。4曲とも非常にクオリティが高いのです。

 「COLORS」は、micca作詞、Ryuhei Yamada作曲、ha-j編曲。miccaは大橋トリオの作詞でも知られている作詞家です。Ryuhei Yamadaこと山田竜平は、最近はKis-My-Ft2にも楽曲提供をしています。ha-jは、多くのジャニーズ関連楽曲を手がけていますが、特に嵐の楽曲の編曲を多く担当しています。

 その「COLORS」は、美しいミディアムナンバー。miccaによる「個」を尊重する歌詞と、「心に残るメロディ」をモットーとしているというRyuhei Yamadaによるメロディーが光ります。ha-jによるストリングスアレンジも洗練されたものです。

 もうひとつのタイトル曲「太陽と月のこどもたち」は、岩崎愛作詞作曲、井上陽介・岩崎愛編曲。シンガーソングライターの岩崎愛と、Turntable Films、Subtle Control、Peg&Awl、Gotch and The Good New Timesで活動する井上陽介による楽曲です。こちらも「COLORS」同様にミディアムナンバー。ポップなメロディーと、アコースティックな感覚を押しだしたサウンドによる楽曲です。女性コーラスの配し方も巧みです。

 そして問題作が「GOLD」。真部脩一作詞作曲、トオミヨウ編曲による楽曲です。真部脩一は、古都の夕べ、Vampillia、集団行動などでも活動するミュージシャン。トオミヨウは自身の活動のほか、土岐麻子のサウンドプロデュース、中島美嘉や平井堅の楽曲のアレンジ、槇原敬之のサポートなどでも活躍しています。

 「GOLD」を「問題作」と書いたのは、いきなり大胆なプログラミングに振りきっているからです。しかも80sテイスト。ポップ・マエストロの異名をとる真部脩一らしい、アーバンな肌触りに加えてオリエンタルな風味もきかせた、凝ったメロディーです。そして、80sなサウンドながら新鮮に感じさせるのはトオミヨウの手腕でしょう。

 「SPARK」は、Kanata Okajima作詞、O-BANKZ、TAKUYA HARADA、CHRISTOFER ERIXON作曲、O-BANKZ編曲。Kanata Okajimaこと岡嶋かな多はシンガーソングライターで、最近ではKis-My-Ft2にも歌詞を提供しています。O-BANKZはジャニーズWESTに楽曲提供をしており、TAKUYA HARADAとCHRISTOFER ERIXONはジャニーズ関連楽曲を多数手がけているソングライターです。

 その「SPARK」は、ベースもファンキーなダンス・ミュージック。EDMのドロップのようなパートまで入れてきます。ダンス・ミュージックの近年の潮流を踏まえた、細部まで作り込まれたサウンドです。

 穏やかで聴く者を慰撫するかのような「COLORS」「太陽と月のこどもたち」と、2017年らしいポップ・ミュージックとして攻めてくる「GOLD」「SPARK」。『COLORS / 太陽と月のこどもたち』は、V6の“静”と“動”を照らすかのようなシングルなのです。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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