アルバム『PLAY』インタビュー

藤原さくら、シンガーソングライターとして迎えた転機 「“今の私”を提示し続けていくしかない」

 

「大切な出会いによって『歌おう』という気持ちになれた」

ーーアルバムの新曲についても聞かせてください。1曲目の「My Way」は英語詞のナンバー。

藤原:「My Way」も物語を作るようにして書いたんです。主人公の女の子が今の状況に嫌気がさして、その場所を抜け出し、一歩踏み出すという曲を書いてみたいなって。女の子の設定も細かく考えましたね。北海道の片田舎で育った女の子はいつか都会に出て自分を試してみたいと思っている。でも、まわりから「おまえには何も出来ないよ」と反対されてるんだけど、「そうじゃない!」って東京に行こうとするっていう。そのテーマをプロデューサーのYAGIさん、RYOTAさん(SPECIAL OTHERS)に伝えて、「じゃあ、こういうアレンジはどうかな?」と話しながら作っていきました。

ーーこの曲の物語は藤原さん自身とも重なってるんですか?

藤原:そういう部分もあると思います。私は私のやり方で進んでいくよっていう。「Soup」や「春の歌」で私のことを知ってくれた人たちに英語詞の歌を聴いてほしいという気持ちもあったんですよ。アルバムのスタートとしては、すごくいいんじゃないかなって。

ーー意思表示も込められているわけですね。ご自身の名前をタイトルにした「sakura」については?

藤原:これは私自身というより、「佐野さくらは今、どうしてるかな?」と思いを巡らせながら作った曲なんです。ロケ地の新宿をひとりで歩きながら、歌詞を考えて……。佐野さくらは神代先生(福山雅治)と一緒にいられなかったけど、それはそれでいいと思うんです。大切な出会いによって、きっと強くなれたと思うから。「悩みはいろいろあるだろうけど、今も楽しく、前向きに生きてるんじゃないかな」と思いながら書いたのが「sakura」なんですよ。私自身もそうなんですよね。たくさんの大切な出会いによって「歌おう」という気持ちになれたので。

ーーまさにドラマとの出会いから生まれた曲なんですね。

藤原:そうですね。ドラマの撮影が終わったあと、私自身も「一区切り付けたい」という気持ちになって。だからこそ新宿に行って歌詞を書いたし、「sakura」という曲が作れたのは本当に良かったと思います。

 

ーーライブ感のあるサウンドも印象的でした。レコーディングはどうでした?

藤原:楽しかったですね! 「sakura」「Necklace」はライブでもずっとやっていたので、レコーディングもすごくスムーズだったんですよ。関口シンゴさん(Ovall)と一緒にアレンジを考えて、メンバーと一緒に「せーの」で演奏して。すっかり気の知れた仲なので、遠慮することも何もないし。

ーーメンバーとの関係が密になったことも、ライブの成果ですよね。

藤原:そうですね。最初の頃とはぜんぜん違うので。Ovallのみなさん(関口シンゴ、Shingo Suzuki、mabanua)とは『good morning』のツアーから一緒にやってもらってるんですけど、普段から音楽の話をいっぱいしてるんですよ。宅録の機材のことなんかも教えてもらってるし、そこで成長させてもらった部分も大きいですね。

ーー演奏についてのアドバイスも?

藤原:うん、教えてもらうこともありますね。あとは“背中を見て”じゃないですけど、一緒に演奏するだけで学ぶことがたくさんあるので。とにかく上手い方々ばかりなので、「がんばらないと」という気持ちになるんですよ。ライブでリアレンジしたり、リズムを変えたりすることもありますからね。

ーーアコギと歌を中心にシンプルにまとめた「play with me」、鍵盤を軸にした「play sick」など、アコースティックな手触りの楽曲も印象的でした。

藤原:あ、嬉しいです。その2曲はアルバムの制作の終盤に作ったんですよ。いろんなタイプの曲が揃っているなかで、いい意味でつなぎになるような曲を作ってみたいなって。「PLAY」というアルバムタイトルは決まっていたから、“play”を使ったタイトルを先に考えて。「play with me」は“一緒に演奏する”という意味もあるし、大人の恋愛みたいなイメージもあると思うんです。「play sick」は“仮病”。どちらの曲も、聴く人によっていろんな捉え方があるんじゃないかな。

ーーソングライティングの幅も広がってるようですね。アルバムの最後に収録されている「はんぶんこ」については?

藤原:CM(「首都医校・大阪医専・名古屋医専 TVCMソング」)のお話をいただいてから書いたんですが、この曲には自分の気持ちもかなり入ってますね。音楽との向き合い方だったり、東京に来てから思ったこと、「大変なこともあるけど、好きだからしょうがないよな」という気持ちだったり。それはたぶん、聴いてくれるみなさんにも当てはまるんじゃないかなって。

ーーなるほど。では〈東京の星は 意外と綺麗だなぁ〉というフレーズも……。

藤原:ホントに感じたことですね(笑)。福岡にいたときは「東京に行ったら星は見えないんだろうな」と思ってたんだけど、見ようとすれば見れるんだなって。“星”は“夢”に置き換えられるし、そういう場所だと思うんですよ、東京って。

 

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