太田省一『ジャニーズとテレビ史』第三十一回:『24時間テレビ 愛は地球を救う』

嵐 櫻井&NEWS 小山&KAT-TUN 亀梨の『24時間テレビ』メインパーソナリティーが意味するもの

 今年8月26日から27日にかけて放送予定の恒例『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)のメインパーソナリティーが嵐の櫻井翔、NEWSの小山慶一郎、KAT-TUNの亀梨和也の3人になることが、4月15日放送の『豪華!4時間超SP「嵐にしやがれ3時間拡大版」&24時間テレビ重大発表SP』(日本テレビ系)のなかで発表された。

 なんと言っても話題は、異なるグループからメインパーソナリティーが起用されたことである。これまで2005年のSMAPの草彅剛と香取慎吾のように、同じグループからということはあったが、異なるグループからひとりずつというかたちは番組史上初ということになる。

 そこには、1978年の第1回以来、今年がちょうど第40回ということがひとつあるだろう。大きな節目の年に新機軸を、という制作側の意図が感じられる。小山慶一郎も「いままでにない新しい24時間テレビにしたいと聞いている」とインタビューで語っていた(『PON!』日本テレビ系/2017年4月17日放送)。

 とは言え、ほかならぬこの3人が選ばれたことには理由があるに違いない。

 彼ら3人には共通点がある。櫻井翔は『NEWS ZERO』、小山慶一郎は『news every.』、そして亀梨和也は『Going!Sports&News』と日本テレビのニュース番組に、櫻井と小山は報道、亀梨はスポーツと担当分野の違いはあるものの、キャスターとしてレギュラー出演していることだ。

 『24時間テレビ』は、そうした彼らの実績が活きそうなタイプの番組でもある。さまざまな現場や人物の元を訪れ、取材やインタビューをすることはこの番組に欠かせない。そこにはキャスターの仕事を通して得た彼らの経験が大いに生かされるはずだ。

 ここで『24時間テレビ』とジャニーズの歴史を簡単に振り返ってみよう。

 「メインパーソナリティー」というポジションがつくられたのは2003年のTOKIOから。その後今回の3人まで、毎年ジャニーズのタレントが務めている。また山口達也(TOKIO)、森田剛(V6)、城島茂(TOKIO)が走ったチャリティーマラソンランナー、数多くのドラマスペシャルへの出演を思い出す人も少なくないだろう。

 ほかに毎年必ずというわけではないが、「番組パーソナリティー」というポジションがある。昨年はオリエンタルラジオが務めた。メインパーソナリティーというポジションができる前は、ジャニーズはこちらを務めることが多かった。

 1992年のダウンタウンからはじまったこの番組パーソナリティーをジャニーズではじめて務めたのは、1995年のSMAPである。メインテーマは「もう一度、チャレンジ」。この年1月に阪神・淡路大震災、3月に地下鉄サリン事件と日本社会を根本から揺るがすような大きな出来事が相次いだことを受けてのものだった。そこに震災直後の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)の生放送で被災者へメッセージや歌を送るなどしていたSMAPが起用された。ここから『24時間テレビ』とジャニーズの関係はぐんと密なものになったと言えるだろう。

 同じく阪神・淡路大震災に際してスペシャルユニット・J-FRIENDSが結成されたように、ジャニーズ自体にも社会貢献に力を注いできた歴史がある。その点では、『24時間テレビ』への出演は必然的なことでもあるだろう。ただ、これまではやはり募金の呼びかけなどチャリティー活動での貢献が主だった。キャスター経験のある今年の3人には、それに加えて現場の声や状況を“伝える”手腕が期待される。その意味では、より一歩踏み込んだ役割を彼ら3人がどう果たすのか、そしてそこに起こる3人の化学反応に注目だ。

 一方、『24時間テレビ』ということを少し離れて最近のジャニーズのテレビ出演の傾向から考えてみても、今回の異なるグループのメンバー共演には興味深いものがある。

 以前にもこのコラムで書いたが、最近はグループの枠を超えたジャニーズのテレビ共演が増えたように思える。大型音楽特番ではシャッフル企画がすでに定着しているが、いわば他ジャンルの番組でもシャッフル化現象が進んでいる。

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