『けものフレンズ』主題歌ユニット、Mステ出演の衝撃 「ようこそジャパリパークへ」の魅力とは?

 本日4月14日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に、どうぶつビスケッツ×PPPが出演。アニメ『けものフレンズ』(テレビ東京系)のオープニングテーマとして話題を呼んでいる「ようこそジャパリパークへ」を歌唱する。

 テレビ局の垣根を越えた今回の出演は、それだけで一大事であることは間違いない。本稿では、なぜここまで『けものフレンズ』とその主題歌が人気なのか、番組を前に一度おさらいしてみよう。

 『けものフレンズ』は、2015年にスタートしたメディアミックスプロジェクト。スマートフォン用ゲームアプリを先行コンテンツとしてリリース後、『月刊少年エース』にて漫画版の連載開始、2017年1月よりアニメの放映がスタートした。キャラクター原案は『アーケードゲーマーふぶき』や『ケロロ軍曹』でおなじみの吉崎観音。基本的な設定はどのコンテンツも同じであるが、アニメではオリジナルストーリーを採用。「動物がヒト化した“フレンズ”と呼ばれるアニマルガールたちが生息する“ジャパリパーク”を舞台に、ただ1人のヒトであるが、自分の正体がわからない“かばんちゃん”が、サーバルキャットのフレンズ、サーバルちゃんと出会い、冒険していく」というストーリーが描かれている。アニメ放送開始時は、出てくるキャラクター全てが朗らかでどこかユルい雰囲気であること、「すごーい!」や「君は〇〇のフレンズなんだね!」といった中毒性のあるフレーズが、盛り上がりのポイントになっていた。

 しかし、物語が進むにつれ、徐々にアニメに隠されたミステリー要素、伏線の数々が登場。そのギャップもまた多くの視聴者を引き込む要因となった。ファンの多くは作中のフレーズを使って楽しんだり、ドラマ『カルテット』と同様、視聴者による深読み考察の試みが広がるなど、当初は予想もしなかったバズを生んだ。

 そんな『けものフレンズ』には別軸での熱狂も存在する。それはアニメの主題歌「ようこそジャパリパークへ」への評判だ。

 歌唱しているのは、サーバル(CV.尾崎由香)、フェネック(CV. 本宮佳奈)、アライグマ(CV.小野早稀)による新ユニット「どうぶつビスケッツ」と、ロイヤルペンギン(CV.佐々木未来)、フンボルトペンギン(CV.築田行子)、コウテイペンギン(CV.根本流風)、イワトビペンギン(CV.相羽あいな)、ジェンツーペンギン(CV.田村響華)によるジャパリパークのペンギンアイドルユニット「PPP(ペパプ)」のコラボが実現した総勢8名のキャスト。彼女たちは『ミュージックステーション』でもパフォーマンスを担当する。

 楽曲を手がけたのは、バンド・Sound ScheduleやTom-H@ckとのユニットOxT、アニメ&アニメ・ゲームコンテンツ向けの名義であるオーイシマサヨシとして『月刊少女野崎くん』主題歌「君じゃなきゃダメみたい」などでも人気を博した大石昌良。ハイテンポな四つ打ちを主体としたサビからスタートし、間奏〜Aメロまではベンチャーズ風のインパクトを持ったギターリフを挟みロック調のサウンドで進行、Bメロ以降はマイナーコードを要所に忍ばせて引っかかりも作りつつ、ジェットコースター的に展開が移り変わる。OxTの相方であるTom-H@ckの手がけた「Cagayake!GIRLS」(アニメ『けいおん!』主題歌)や、神前暁の代表曲でもある『もってけ!セーラーふく』などに近い、ゼロ年代アニソンの系譜を受け継いだ、一言でいうとクセになる楽曲だ。

 この曲については、動画投稿サイトに次々と歌ってみた動画などもアップされたり、星野源も自身のラジオ番組『星野源のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で「1日中、仕事以外でずっと聞いている、60回くらいは聞いている。最近、いわゆるアニソンにうわっとはならなかったけど、ひさしぶりにいい曲だと思った」と大絶賛。大石本人がセルフカバーしたバージョンも220万回再生を記録するなど、楽曲単位での盛り上がりもアニメファン以外に波及している。

 そんなタイミングでの『ミュージックステーション』出演は、アニメ発のコンテンツ・楽曲をより幅広い層に届ける点で大きな意味合いを持つ。ここで楽曲をめぐる議論が活発となり、年間を通してのバズを作ることができるのか。

(文=向原康太)

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