BOOM BOOM SATELLITES、最後の作品に刻んだ19年の歩み 中野雅之のトーク+映像上映会レポ
今回のベストアルバムには「JOYRIDE」(1997年)から「LAY YOUR HANDS ON ME」(2016年)まで、BOOM BOOM SATELLITESの19年間の軌跡が刻まれている。BOOM BOOM SATELLITESのその歩みは、今作をもってひとつのピリオドが打たれた。しかし、中野は今後も何らかのかたちで音楽に携わっていくことを、この日集まったファンの前であらためて言葉にした。
「僕は音楽が持つ力に魅了されている。それを知ってしまったから、やっぱり音楽と深く関わって生きていきたいなと思いを新たにしましたし、BOOM BOOM SATELLITESという存在は僕にとっては切っても切り離せない大切なもの。だから、今は『BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之』として生ききろうと思い始めています。これから川島くん以外の人と音楽をつくるということになっても、自分がBOOM BOOM SATELLITESの大事な片割れであることは、忘れずに生きていこうと思ってます」
トークショーのあとには映像作品が上映された。この映像は、『FUJI ROCK FESTIVAL』『SUMMER SONIC』『RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO』といったロックフェスから、2010年の幕張イベントホール、2013年の武道館を含むワンマン、そして結果的に最後のライブアクトとなった2015年8月の『WILD BUNCH FEST.』まで、年代を追って構成されている。それを通して観ることは、BOOM BOOM SATELLITESの歴史そのものを感じる体験だった。ダンスミュージック、ビートミュージックとしての高揚感や全能感、ロックミュージックとしての生々しくフィジカルなエネルギー、そして、死生観とも言える研ぎ澄まされたメッセージを兼ね備えたBOOM BOOM SATELLITESの音楽は、本当にかけがえのない存在だ。そしてステージの上では、常にストイックに、一瞬一瞬にすべてを捧げていくようなエモーショナルなパフォーマンスで、どの会場においても観客を熱狂させてきた。
また、ライブ映像の間には、中野と川島、そしてサポートメンバーである福田洋子(Dr)と山本幹宗(Gt)、スタッフとの舞台裏での会話も収められている。ステージ上のストイックさとは裏腹に、楽しそうに談笑する様子からは、19年ともに音楽に没頭してきた二人の関係性を垣間見ることができた。そして映像の冒頭と終盤に収められたのは、『LAY YOUR HANDS ON ME』のレコーディング風景。中野の「これが本チャンだと思ってもらったほうがよくて。もう録れないかもしれない」という言葉に、「今、……今日できることを」と答える川島。『LAY YOUR HANDS ON ME』を、中野と川島はどれほどの思いで完成させたのだろうか。過酷な運命に立ち向かう苦しみよりも、生きているなかで手にした「光」を歌ったこの曲は、今も、そしてこれから先も、BOOM BOOM SATELLITESのアンセムとして、多くの人に聴かれ続けていくだろう。
中野はトークショーの最後に、「こうやって同じ場所に集まって、同じ時間を過ごすという機会を持てたことを感謝します。どうか楽しんで行ってください」と話した。2015年2月に発売され、最後のオリジナルアルバムとなった『SHINE LIKE A BILLION SUNS』後にはワンマンライブが予定されていた。しかし、川島の病状を理由に残念ながらキャンセルとなってしまい、以降ライブが行われることはなく、『LAY YOUR HANDS ON ME』のリリースとともに活動を終了することになった。それでも、彼らの軌跡が刻まれたこの映像をひとつの場を共有しながら、全国で一斉に見届けることは、ライブにも似た興奮や独特の緊張感を生み、そして彼らが真に唯一無二の存在であったことを確信させるものだった。
そして、映像の最後に映し出されたのは、『BOOM BOOM SATELLITES FRONT CHAPTER ―LAST SESSION― LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』という文字。6月18日、これが、BOOM BOOM SATELLITESにとってのラストライブとなる。会場は、彼らが何度もステージに立ち、そして川島のお別れ会も行われた、新木場STUDIO COASTだ。川島道行という、BOOM BOOM SATELLITESにとって絶対的な存在がいなくなった今、どのようなライブが行われるのか。その詳細はまだ明かされていない。それでも、彼らの音楽をまたライブで聴くことができる嬉しさに勝るものはない。BOOM BOOM SATELLITESが続けてきた音楽の旅路は、今もなお、この先へと続いている。
(取材・文=若田悠希)
■リリース情報
『19972016』
発売日:2017年3月1日(水)
初回生産限定盤(4枚組CD+Blu-ray)
価格:¥7,200(税込)
<Blu-ray収録内容>
SUMMER SONIC 2004「DIVE FOR YOU」
FUJI ROCK FESTIVAL’05「LIGHT MY FIRE」
SUMMER SONIC 2006「PILL」「KICK IT OUT」
FUJI ROCK FESTIVAL’07「MOMENT I COUNT」
BOOM BOOM SATELLLITES JAPANTOUR 2008「UP SIDE DOWN」INTERGALACTIC」
METAMORPHOSE ‘08「DIG THE NEW BREED
SWEET LOVE SHOWER 2008「MORNING AFTER」
PREMIUM GIG 2009「ALL IN A DAY」「DRSESS LIKE AN ANGEL」
BOOM BOOM SATELLLITES JAPAN TOUR 2010 Final「BACK ON MY FEET」「STAY」「FOGBOUND」
FUJI ROCK FESTIVAL’10「EASY ACTION」
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO「BACK ON MY FEET」
FRONT CHAPTER 2011「DRAIN」
FUJI ROCK FESTIVAL’12「BROKEN MIRROR」
EMBRACE TOUR in武道館 2013「ANOTHER PERFECTDAY」「HELTER SKELTER」「EMBRACE」
RADIO CRAZY 2013「KICK IT OUT」
SUMMER SONIC 2014「ONLY BLOOD」
FRONT CHAPTER「AHUNDRED SUNS」「NINE」
FUJI ROCK FESTIVAL ‘15「STAY」
WILD BUNCH FEST.2015「KICK IT OUT」
『19972016 -20082016-』
通常盤(2枚組CD)
価格:¥3,600(税込)
『19972016 -19972007 Remastered-』
通常盤(2枚組CD)
価格:¥3,600(税込)
■iTunes配信
『19972016 -20082016-』
『19972016 -19972007 Remastered-』
■ライブ情報
『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』
2017年6月18日(日)
会場:新木場STUDIO COAST
OPEN18:00/START19:00
チケット:¥10,000(+1drink)
※ベストアルバム封入先行:2017年3月1日(木)17:00~3月14日(火)23:59
※オフィシャルHP先行:2017年3月17日(金)17:00~3月27日(月)23:59
※詳細は後日発表。
問い合わせ:クリエイティブマン