金子厚武のプレイヤー分析
ジョン・フルシアンテのような存在感を放つ、林宏敏(ex.踊ってばかりの国)のギタープレイ
EPの表題曲「さよーならあなた」には、林以外に、キネマ倶楽部でのライブにオープニングアクトとして出演していたGateballersからベースの本村拓磨、さらにドラムの濱野泰政が参加。Aメロとサビのテンポチェンジが印象的な楽曲において、林は「Boy」にも通じるリズミカルな反復フレーズで曲をリードし、サビでは一転深いディレイのかかったサイケなギターでカネコの歌にゆったりと寄り添うことで、楽曲の世界観に大きく貢献している。カネコはもともと踊ってばかりの国のファンで、音楽性も通じるものがあっただけに、相性はばっちりだ。
キネマ倶楽部でのライブからわずか3日後の11月22日、カネコは林をメンバーに迎えた4人編成での初ライブを下北沢シェルターで開催。2人は今後ともコラボレーションを続けていくのだろう。そしておそらく、ときにダイナミックで、ときにいぶし銀な林のプレイは、今後より多くの人から必要とされるに違いない。
■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。