KinKi Kids、安藤裕子書き下ろし曲で“らしさ”と“新しさ”共存 11月2日発売の注目新譜5選

ザ・クロマニヨンズ『BIMBOROLL』(AL)

 ハイスタのニューシングルの販売方法に関するニュースに象徴されるように、マーケティングや仕掛けに注目が集まる現在において、バンドの立ち上げから一貫して“ツアーをやる、曲を作る、レコーディングする”というサイクルを繰り返しながらもまったく飽きることがないザ・クロマニヨンズの存在は本当に際立っている。濃密なブルーズを感じさせるハープから始まる「ペテン師ロック」、ピート・タウンゼントばりのロックンロール・ギターが炸裂する「ピート」、高速の8ビートとともに“大体はつまらないとかおもしろいとか考えない。ただ過ぎていく”という歌が広がる「大体そう」。本作でもザ・クロマニヨンズはひたすら真っ当なロックンロールだけをやっているのだ。もはや求道的なのか思考停止なのかもわからないが、これだけのキャリアを重ねながら、いまも新作が出るたびに「すげえ!」と思わせてくれるバンドは世界的にも稀だろう。未来を切り開く新しい音なんて必要ない。これでいいのだ。

ザ・クロマニヨンズ「ペテン師ロック」

Nothing’s Carved In Stone『Adventures』(SG)

 今年2月にSiM、赤い公園などゲストに招いた2マンツアー『Hand In Hand Tour 2016』を敢行。5月には初の日比谷野外音楽堂ワンマンライブを行うなどバンド結成から8年目を迎え、さらに精力的な活動を続けているNothing’s Carved In Stone。研ぎ澄まされたギターリフと緊張感に溢れたアンサンブルを軸にした『In Future』(2016年4月リリース)に続くニューシングル曲「Adventures」は、<始まりの音が 今も響いている>というフレーズから始まる、力強く、エモーショナルなミディアムバラードに仕上がっている。中心にあるのは村松拓の歌。“悲しい出来事に見舞われても、自分にとっての大切なものをしっかりと守りながら生きていきたい”というシリアスな思いを込めた歌を前面に押し出したこの楽曲は、バンドにとっても新たな武器となるだろう。ゲストプレイヤーのヒイズミマサユ機による、メロディアスにしてエッジーなピアノの演奏もこの歌に内包された感情の濃さを際立たせている。

Nothing’s Carved In Stone「Adventures」

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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