欅坂46、デビュー8カ月で紅白初出場を果たした理由 グループの一貫したコンセプトを紐解く

 欅坂46が、12月31日に放送の『第67回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出演する。

 今年4月6日に1stシングル『サイレントマジョリティー』でメジャーデビューした彼女たちは、約8カ月余りで紅白出場を成し遂げることとなる。なぜ欅坂46は異例とも言えるスピードで紅白出場を果たすことができたのか。それは、デビュー曲「サイレントマジョリティー」から最新曲「二人セゾン」までのグループの一貫したコンセプト作りが功を奏したからではないか。

欅坂46 『サイレントマジョリティー』

 1週目の売り上げが女性アーティスト歴代1位を記録し、MVの再生回数は約3250万回(11月28日現在)にものぼるデビュー曲「サイレントマジョリティー」は、アイドルシーンを飛び越え一般層にまで名を轟かすほどのグループ代表曲となった。ダイナミックかつ統率の取れたダンスと勇ましさを感じる佇まい、アイドルグループのデビュー曲には珍しいマイナー調のメロディーに乗せ、<大人たちに支配されるな>と歌われるメッセージ性の高さは衝撃のデビュー作であった。決して笑うことなく、鋭い眼力で歌い踊るパフォーマンスは、欅坂46のイメージを形作るのに成功したと言えるだろう。

 特にグループのセンターを務める15歳、平手友梨奈には見るものを引きつける圧倒的存在感がある。振付師のTAKAHIROは、平手に対しモーセが海を割り、紅海を渡った様子とウジェーヌ・ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』の絵を見せ、「これをイメージして歩いてください」と伝えたという。平手は、その後も2ndシングル『世界には愛しかない』、3rdシングル『二人セゾン』と3枚連続でセンターを務めている。平手について筆者が印象深く記憶しているのは、10月16日に放送の『欅って、書けない?』(テレビ東京系)で実施した「3rdシングル選抜発表」でのこと。センターを務めることになった今の心境を聞かれた平手はしばらく長考しながら数回頷き、覚悟を決めた様な目で「今回も頑張りたいと思います」と一言コメントした。MCの土田晃之は「よかった。ちゃんと喋ってくれて」と空気を読んで茶化していたが、15歳という若さの女の子が作り出す空気ではないことはテレビを通しても伝わってきた。

欅坂46 『世界には愛しかない』

 疾走感溢れるメロディーとポエトリーリーディングが特徴的な2ndシングル表題曲「世界には愛しかない」は、「サイレントマジョリティー」に続きTAKAHIROが振付を担当。彼は「世界には愛しかない」について「シチュエーションやベクトルは違うけれど、共通する点は『大人の抑圧』とそれに反する若者に芽生える『自我の形成と自己の確率』を示している所」と「サイレントマジョリティー」との共通点を『BRODY 2016年10月号』(株式会社白夜書房)にて語っている。その言葉が示す通り、<大人はみんな嘘が多すぎて忘れてる><誰に反対されても心の向きは変えられない それが僕のアイデンティティー>と「サイレントマジョリティー」に通ずる心象風景が描かれていた。

 「世界には愛しかない」が主題歌となったミステリー&コメディ学園ドラマ『徳山大五郎を誰が殺したか?』(テレビ東京系)では、メンバーが総出演で初主演を務め演技経験を積む。その一方で、同時期に放送されていた『KEYABINGO!』(日本テレビ系)ではバラエティ番組の洗礼に体当たりで挑み、年相応の純粋無垢な女の子の顔をみせることも多くなっていった。

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