9mm Parabellum Bullet、“滝休養前”の壮絶なステージ 彼らがツアー最終公演で見せたもの

 9mm Parabellum Bullet(以下:9mm)が11月5日、『9mm Parabellum Bullet TOUR 2016 “太陽が欲しいだけ”』の追加公演を東京・豊洲PITで開催した。

 同ツアーは当初、ワンマンライブツアーとして全国17公演を予定としていたが、6月19日に開催した日比谷野外大音楽堂のワンマンライブで滝 善充(Gt.)が左腕の不調を訴え、一部ツアーをキャンセルしながらも、ゲストヴォーカルを迎えたアコースティックユニットとバンドの2編成や、オープニングゲストを呼んだ対バン形式などを交え、今回の公演を迎えることができた。

 

 ライブが始まる直前にステージに現れた菅原は、「これまでやってきたワンマンツアーの尺は、なかなか演奏できる状態じゃなくて。演奏ができるMAXの曲数、時間の中で最大限、このツアーをやってきました。今日も普通のワンマンツアーより短いんだけど、最初のカウントからMAXでいくんで、みんなも最初から全開できてください」と、現在のバンドの状況とツアーの経緯を説明しながら、ライブへの意気込みを語った。

 今回の公演にゲスト登場したのは、9mmとは初めての対バンとなったGRAPEVINE。拍手に迎えられながら登場した田中和将(Vo./Gt.)は嬉しそうな表情で「これが9mmのお客さんか」とコメントし、会場を和ませた。1曲目に演奏された「FLY」ではのびのびとした田中の歌声と西川弘剛(Gt.)によるギターの音色で、耳に残るハーモニーを届けた。亀井亨(Dr.)が繰り出すドラムのビートから勢いをつけて始まる「EVIL EYE」、「MISOGI」ではミドル・テンポのビートとソリッドなギター、インパクトある歌詞のフレーズを思いきり歌い、ワイルドなロックンロールを披露。続く「CORE」では、緻密なアンサンブルが幻想的な照明演出により彩られ、会場全体にGRAPEVINEならではの空間を作り出していく。凄まじい音圧により、徐々に熱を帯びていくようなロックナンバーに観客は酔いしれた。

菅原卓郎(Vo./Gt.)

 続いて、真っ暗なステージが真っ赤に染まると、9mmのメンバーが登場した。サポートギター武田将幸(HERE)を含めた5人が、息を整えるようにそれぞれの楽器を思い切り鳴らし続ける。かみじょうちひろ(Dr.)のカウントを合図に「太陽が欲しいだけ」の演奏を全身全霊を捧げる勢いでスタートすると、オーディエンスも声を高々にあげた。続く「Discommunication」で歓声は一層大きくなり、会場の雰囲気はGRAPEVINEの幻想的な空間から一変、熱気に包まれた。滝は曲ごとにギターとシンセサイザーを担当し、「インフェルノ」や今回のツアーで初めて披露した「ロンリーボーイ」では、ステージから前のめりになりながら激しいギタープレイで魅了した。オーディエンスからの歓声とメンバーの名を叫ぶ声が鳴り止まず、菅原は「最初から全開で来てくれてありがとう、みんな」と、それに応えた。

 菅原から「みんなの前で演奏するのを楽しみにしていた」と紹介された曲は「スタンドバイミー」。雨が上がった後の空を歌った同曲は、メロウなファンクナンバーで、9mmの楽曲の幅の広がりを感じさせた。菅原は「急だったにも関わらずアコースティックに出演してくれた仲間やゲストバンドのみんな、そして今日出てくれたGRAPEVINEに本当に感謝します」「これからも山あり谷ありでやっていくんで、みんなの力貸してください」と今回のツアーを振り返りつつ、熱い思いを語った。

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