友川カズキが語る、音楽とリスナーの関係「こっちも表現者だけどね、聴く方も表現者だ」

友川カズキが考える音楽とリスナーの関係

音楽は頭を使わない。出たとこ勝負で、それがよくてね。

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ーー今回のアルバム『光るクレヨン』は33作目とのことですが、作品を出すに至った経緯は?

友川:いやいや、紛らわしいことはないよ。歌がたまったからだよ。

ーーこの作品では、西東三鬼さん、石原吉郎さん、間村俊一さん、波田野紘一郎さんといった色んな方の原句や原詩を使っていて、それを友川さんがアレンジしている。しかし、その方たちのオリジナルについて俺なんかは知らないんですよ。そこで、アレンジしているのはどの部分なのかなと。例えば「三鬼の喉笛」で山崎春美さん(ガセネタ/TACO)が語る最後の部分については、いかがでしょう。

友川:ああ、あれは俺の詩よ。

ーーやっぱりそうなんですね。<気温50度の公園で 少年がリフティングをしているその横を/バテた鳩が5羽も6羽もあるいている/サビた過去の巻き尺のように カクカクとしておぼつかない>というところなんかは、中原中也っぽく感じて、凄く友川さんぽいなぁと。

友川:いやいやいや。あれは公園で書いた詩だね。

ーータイトル曲の「光るクレヨン」も公園で書いた詩ですよね。このタイトルはどういう意味なんですか?

友川:別になにもないよ。おめぇが考えてくれよ(笑)。葉っぱの色が緑なのをクレヨンと表現しただけで、それは光る葉っぱでもいいわけ。そういう感じよ。たいした意味はない、感覚なのよ。

ーーそれは、初期の頃とはまた違う表現方法なのでしょうか。

友川:違うね。前はもっと具体的だったね。

ーーその初期の頃の作品『桜の国の散る中を』と『海静か、魂は病み』が再発されましたが、友川さんの詩は「みんなで明るく楽しく」というわけではないじゃないですか。

友川:「みんなで」っていう根性が自分の中にないもん。たった1人でいいわけよ。「あなた」でいい。全員に歌ってる気持ちが一切ないから、1対1の感じなのよ。

ーーライブもそういう感じですか?

友川:ライブも全く同じ。だからってガラガラだったら疲れちゃうけど。やっぱり満杯の中で1人1人、1対1がいいね。退屈って感じしない? ステージって。キザに言うとタイマン張ってる感じというか。

ーー今回のアルバムの中で、遠藤ミチロウさんの「思惑の奴隷」という曲をカバーしているじゃないですか。いい歌ですよね。

友川:あれはね、ミチロウさんの歌をみんなでカバーしたCDが1枚出たのよ。そのときに歌ったの。いい歌だね。言葉がいい、「思惑の奴隷」なんてさ。「カァ〜ッ! なってみたい!」みたいなね。

ーー「悪いふうにしか考えられないか」という言葉もとてもいいですよね。

友川:いい言葉だ。ミチロウさんは私の「ワルツ」という曲を歌ってるんだけど、ミチロウさんの「ワルツ」もぶっきらぼうでね。彼、上手く歌おうとしないじゃん。あれでいいの。上手く歌おうとか、感情を出そうなんて一切思ってない。あれがいい。「悪いふうにしか考えられないか」いい言葉だねぇ。

ーー曲づくりの方法は、詩が先ですか?

友川:そうそう。詩というかメモね。メモしてる言葉にギターを弾いて曲をつけて。簡単なのよ。私の唯一の利点はね、ヒット曲はないけどスランプも全くないの。悩みってのが無いからね。競輪では悩む。どこを買うかとかね。結構頭使うんだよ、競輪は。音楽は頭を使わない。出たとこ勝負で、それがよくてね。詩は耳障りを直すけどね。例えば「一人ぼっちは絵描きになる」っていう歌は最初、「一人ぼっちは画家になる」だったのよ。でも“画家”だと“バカ”にも聞こえるし、はっきりしないでしょ、音にしたとき「何て言ってるんだろう?」って。絵描きなら簡単にわかる。曲にしたときに、そういう直しはあるね。

ーー今回のアルバム『光るクレヨン』に入っている、遠藤ミチロウさんの「思惑の奴隷」も原曲を知らなかったんですけど、個人的にそういうことが友川さんにはよくあって、「サーカス」を聴いて「何だこれカッコいいな」と思って中原中也を知ったりとか。

友川:俺もほとんどそういうパターンだよ。ボブ・ディランだけは、影響を受けた詩人を知ってる。アレン・ギンズバーグってね、凄い詩人がいるの。だからボブ・ディランの詞にはあんまり影響受けなかったのよ。歌は結構聴いたけど。「ハリケーン」とか「ライク・ア・ローリングストーン」とか名曲じゃないですか。でも、歌詞はあんまり読んでないな。「答えは風の中にある」なんて、本当嫌いな言葉だよ。風の中にあるってことは、どこにも答えはないってことだから。でも、まぁまぁいいの。世界中に子どもがいて、養育費のために歌ってるってホントだったら、いい話だねぇ〜。

ーーディランはノーベル賞を拒否すると思ってたんですけどね。

友川:いや、どうでもいいよあんなの。でも、やっぱり9600万は貰った方がいいよ。秋田のある新聞社の人から電話があって「今、ボブ・ディランがノーベル賞とったんですけど、友川さん感想は?」って言われて「ない」って答えたくらい(笑)、なんにもない。どうでもいいのよそんなのは別に。貰ってもいいし貰わなくてもいいし。村上春樹も全然興味ないし。ただ、泉谷しげるがスポーツ新聞の取材に「違和感がたまらなかった」って言ってて、その言葉は「ああ〜そうだなぁ」って思ったね。

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