洋楽、邦楽、タイポップスも? ハロプロによるカバー楽曲を振り返る

<05.アニソン>

・モーニング娘。のひょっこりひょうたん島/モーニング娘。(2003)
・CAT'S EYE/キャッツ♥アイ セブン(2012)
・魔法使いサリー/アンジュルム(2015)
・オラはにんきもの/こぶしファクトリー(2016)

 ハロプロ×アニソン楽曲については先日リアルサウンドに寄稿した記事「Buono!、きら☆レボから、こぶしファクトリーまで ハロプロ×アニソンを俯瞰する」にて解説したのでそちらを参照していただきたい。「モーニング娘。のひょっこりひょうたん島」の原曲である「ひょっこりひょうたん島」はアニメではなく人形劇番組の同名主題歌だが、キッズ向けという意味合いでこちらのカテゴリに含めた。

モーニング娘。「モーニング娘。のひょっこりひょうたん島」

<06.女性歌手>

・サヨナラのかわりに/モーニング娘。(2007|c/w曲)
・笑顔/松浦亜弥(2007)
・あなたに出逢えて/松浦亜弥(2007|c/w曲)

 「サヨナラのかわりに」は、テレビ番組『おはスタ』(テレビ東京系)の1999年度出演者によるユニット“おはぐみ”が2000年にリリースした卒業ソング。おはぐみには末永遥、酒井彩名など5名による“おはガールシトラス”が含まれている。2007年2月上旬に番組内ミニドラマ『モーニング娘。の“ありがとう”を伝えたい』が放送され、その流れでのカバーだった。

 「笑顔」の原曲は谷村有美が日テレNEWS24の2006年末特番『世相』のエンディング用に書き下ろしたものだったが、それを松浦がカバーして同局のイメージソングとしてシングル発売された。そのシングルのカップリング曲「あなたに出逢えて」も、谷村の1995年発表アルバム曲のカバー。

<07.森高千里>

・ロックンロール県庁所在地 ~おぼえちゃいなシリーズ~/ミニモニ。(2003)
・渡良瀬橋/松浦亜弥(2004)
・ザ・ストレス/安倍なつみ(2006)
・ザ・ストレス (危機Version)/安倍なつみ(2006|c/w曲)
・ザ・ストレス (shakabone HIDE Remix)/安倍なつみ(2006|c/w曲)
・ザ・ストレス (アカペラVersion)/安倍なつみ(2006|c/w曲)
・この街/℃-ute(2013)
・雨/矢島舞美(2013|c/w曲)
・ハエ男/℃-ute(2013|c/w曲)
・この街 (Dance Groove Ver.)/℃-ute(2013|c/w曲)
・17才/つばきファクトリー(2016|c/w曲)
・私がオバさんになっても/つばきファクトリー(2016|c/w曲)

 モーニング娘。をはじめとしたハロプロアイドルが所属するアップフロントグループ、その事務所の先輩である女性アイドル歌手が森高千里で、後輩たちから楽曲カバーされている率が高い。バージョン違いを除けば8曲もある。「ロックンロール県庁所在地」のみ1992年のアルバム曲で、その他はすべてシングル曲。「17才」の原曲は南沙織だが、森高のカバーバージョンも有名だろう。「私がオバさんになっても」のつばきバージョンは今年音源化されたが、℃-uteの2007年の演劇『寝る子はキュート』の劇中で歌われたのが印象深いというハロプロファンも多いはずだ。

℃-ute「この街」

<08.男性歌手>

・ズルい女 (English Version)/ココナッツ娘(1999)
・ラーメン大好き小泉さんの唄/こぶしファクトリー(2015)
・江戸の手毬唄II/℃-ute(2008)
・桜ナイトフィーバー/こぶしファクトリー(2016)

 「ズルい女」「ラーメン大好き小池さんの唄」の2曲とも、つんく♂が所属するロックバンド・シャ乱Qのナンバーで、それぞれ英訳、ドラマ主題歌としてアレンジカバーされている。

 「江戸の手毬唄II」は五木ひろしとの競作としてリリースされたものなので、五木版が「I」、℃-ute版が「II」という意味合い。「桜ナイトフィーバー」も原曲はKANだが、こぶし版リリース前にハロプロメンバー全員でライブイベント「ひなフェス」にてカバー披露したという経緯がある。

 なお、アンジュルム「大器晩成」については、中島卓偉からの提供曲と解釈して今回はリストには含めなかった(中島のアルバム『煉瓦の家』に収録のバージョンは、アンジュルム版より先にレコーディングされたそうだ。しかしリリースはアンジュルムより後だったので、そういう意味ではセルフカバーといえる)。

こぶしファクトリー「桜ナイトフィーバー」

 そして今回のカントリー・ガールズ「涙のリクエスト」だが、カテゴリ的には<08.男性歌手>に分類することができる。ただ、シャ乱Q・五木ひろし・KAN(・中島卓偉)はいずれもアップフロントに近しい身内的な存在であり、そこでチェッカーズのカバーというのは、どういう経緯でこうなったのかはよくわからないが、意外性があって面白い。カンガルの過去楽曲はアメリカン・ポップス調であることが多く、オールディーズをベースとした音楽性を持つチェッカーズを取り上げるというのは理に適っている。メンバー梁川菜々美のサックス演奏がパフォーマンスに組み込まれているのも同曲の注目ポイント。

 ある時期までのハロプロカバー曲は、GS/フォーク/ニューミュージック系だったり、森高などのアップフロント人脈に寄った、いってみれば保守的な印象が強かったように思う。それに比べるとBerryz工房のタイポップスや、「ランラルン ~あなたに夢中~」「涙のリクエスト」といった予想外な方面からの掘り起こしは新鮮だ。今後もカバーを行なう際はそういった良い意味での驚きを与えてくれるものに期待したいところである。

ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。

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