「中井さんがいたから、自分たちの殻を破ることができた」（剛）

ーーこのタイミングで、外部の人の意見に耳を傾けながら楽曲制作をするというのは、WHITE ASHにとってもすごく良い経験になったのではないですか？

のび太：そうですね。さっきも言ったように、今まで結構感覚的にずっとやってきたものに対して、ちゃんと第三者目線で意見してくれる人がいるっていうのは......たとえば、僕らはその「これカッコ良いね」っていうものを、もう感覚的にメンバー4人で共有できる部分があるわけじゃないですか。でも、中井さんは、それがなぜカッコ良いのかという理由を分析して、言葉で僕らにしっかりと説明してくれるんですよね。そうやって改めて言葉で説明されると、「あ、そういうことだったのか」と思うことも多くて。その部分を理解した上で曲作りをしていくと、何かスムースに曲が生まれる感じがあったりとかして。なるほど、こういうふうにするといいんだなという。

彩：4人だけでやっていると、どうしてもそこで完結しちゃうじゃないですか。だけど、中井さんは、そこでさらに「もっと突き詰めましょう」みたいなことを言ってくれたりしました。だから、最初にあったものと最後にできたもので、全然変わっていったものも今回はかなりありましたね。

のび太：そう、5曲目の「Knock On Doors In You」は、Aメロで「モンスト」のメロディが使われていて、サビでエモーショナルになる曲です。サビの裏で鳴っている山さんのギターフレーズが、最初はそのエモさを出すために、結構人間くさい感じというか、ちゃんと人が弾いてる感じのフレーズになっていたんですけど......。

山さん：フレーズ的に言うと、淡々と弾くっていうよりかは、叙情的な感じの弾き方というか、ちょっとドラマチックな感じでやっていたんですけど、「ドラマ性っていうのは、 果たして必要なのか？」というお話を中井さんとして。ボーカルにドラマ性があるから、ギターはそこで敢えて淡々と弾いたほうが、歌が引き立つんじゃないかという新鮮な考えに至りました。

のび太：そうそう。その差し引きで、淡々と弾いたほうが逆にエモくなるっていう。

山さん：WHITE ASHは、今までのび太のイメージに沿って曲を作ってきましたし、抽象的な単語から連想することも多かったんです。でも、そこに中井さんが入ることによって、今までとは全然違う新しいものになっていくように感じました。1曲目の「Monster」っていう曲は、仲間と一緒に戦うという「モンスト」の青春感や甘酸っぱさ、爽やかさが欲しいと言っていただいて作ったものです。中井さんがいなければ、このテーマにたどり着くことはなかったかもしれません。

のび太：うん、僕から、そういう青春感は出てこないよね（笑）。

山さん：そうそう（笑）。だから、今までだったら、僕とのび太がパワーコードでズンズン弾いているような攻めの楽曲として仕上がっていたと思うんですけど、そのサビの部分のフレーズに、青春感というかちょっと爽やかなギターフレーズを持ってくることによって、何か今までにないような感じの曲になったなっていうのがあって。それは自分たちらしさというよりも、何か新しい感じが出てきた感覚もあって。そういう意味でも、今回のコラボはすごく良かったなって思いましたね。

ーー最終的にできあがったものを聴いて、改めてどんな感想を持ちましたか？

彩：今回は「モンスト」ありきの話ではありましたけど、今までのWHITE ASHの流れのなかに入っている曲たちだなと改めて思いました。スピード感のある曲もあるし、横ノリの曲もあるし。コラボの結果できたものですけど、前作とか前々作の流れもちゃんと汲んで、今出すベストな曲たちになったなっていう。私としては、そこがすごくうれしいですね。

剛：自分らだけというか、僕ら4人の頭の中だけでやっていたら、絶対こういう感じには なってないだろうっていうのは思いましたね。4人だけだったら、きっとここで終わらせていただろうなっていうのがあったと思うんですけど、中井さんという第三者が、「もっとこういうベースなりギターなりドラムなりを見たいんです」と意見をくれたからこそ、自分たちの殻を破ることができたというか。それによって、これからもっといろんなチャレンジができるんじゃないかなっていうふうな気持ちにもなれましたし。そういう達成感があるので、今回のコラボはすごく良かったですね。

ーー何かを足すのではなく、もともとWHITE ASHのなかにあったものが、さらに引き出されているというか。

のび太：そうですね。すでにそこにあるものを、もっと伸ばすような感じには、結果的になりましたよね。ノリで作るのではなく、こうやってある程度の設計図というか、そういうのがあって曲を作るのも、すごいいいなって思いました。