『おどってあそぼう!!ケロポンズBEST』インタビュー
ケロポンズが語る、子どもの心をつかむ秘訣「自分たちが思い切り楽しめることが一番大切」
「とにかく自分たちが面白いかどうか」(ケロ)
ーー曲作りはいつもどんなふうに?
ケロ:曲によりけりなんです。ポンちゃんが書いた歌詞にわたしがメロディをつけたり、先にメロディがあって、そこに歌詞をつけたり。あと、タイトルをポンちゃんが考えて、それにわたしが歌詞を書くことも、その逆もあります。アイデアは、例えば「エビカニクス」は『音楽広場』の編集者さんたちと、次号の打ち合わせを食事しながらしていたときに、「なんか、エビ、カニ、エビカニエビカニ、わー!!ってやったら面白くない? エビとカニでエビカニ? エアロビクスとかけて、エビカニクスとかどう? 最高だよね!」なんて、盛り上がっているうちに出来上がりました。
ーーあははは(笑)。「子どもたちが面白がるためには...?」とか、そういうことも考えます?
ケロ:いやもう、とにかく自分たちが面白いかどうかですね。
ポン:振り付けも感覚的なんですよ、「エアロビクスって、こんな動きするよね?」みたいな(笑)。自分たちはダンスのプロじゃないので、あまり難しいこともできないし。それで、4種類くらいのパターンを組み合わせたシンプルな踊りになりました。まあ、飲みの席で半分くらいは出来上がっていたんですけど(笑)。
ケロ:そんな感じだったので、まさかここまで人気が出るとは自分たちでも思っていなかったです。4年前にYouTubeにアップされたのが大きなキッカケだったかな。でも、それは大人からのリアクションが増えただけで、子どもからのリアクションはもっと前からすごくありました。
ーー例えば、オンビートを多用したわかりやすいメロディや、繰り返しのフレーズなどは、子どもが覚えやすくノリやすいように工夫しているのかなと思ったのですが。
ケロ:そうですね。子どもたちはサビから覚えるとか、繰り返しのフレーズが好き、などは大学の卒論でテーマにもしていたので、それが無意識のうちに活かされているのかもしれませんね。
ーー子どもが喜ぶテンポとか、リズムとかあったりするのですか?
ケロ:「エビカニクス」は「このくらいのテンポだよなー」となんとなく感覚で作っているし、子供が喜ぶとかはあんまり...基本、「子供のために!」というのは考えていないんです。自分たちが思い切り楽しめることが一番大切だと思ってやっています。その本気で楽しんでいる様子が子どもたちにも伝わっているということが大きいかもしれないです。
ーー「エビカニクス」はエアロビクス、「チェケマッチョ」はチェケラッチョ、「ふりかけパラパラ」はパラパラダンスと(笑)、ダジャレがたくさん出てきますよね。
ケロ:そうそう。“ことばあそび”ですよね。子どもはダジャレが好きなんですよ。きっと言葉の響きそのものや、一つの言葉に二つの意味があったりすることがおもしろいのかもしれませんね。
ーーじゃあ、「こういうことは、やらないようにしよう」というのはありますか? 例えば下ネタはやらないとか(笑)。
ケロ:あ、確かに下ネタはないかもしれない(笑)。
ポン:あと、保育をやっていたときに、しつけを音楽に使うことがあったんですね。例えば子どもを静かにさせたり、ちゃんと席に座らせたりするための音楽っていうのがあるんですよ。「手はお膝〜♪」と歌って、姿勢を正すとか。そういう、子どもを誘導したり、コントロールしたりする音楽は作らないようにしています。
ーーむしろ、ケロポンズの楽曲は逆ですよね。コントロールするのではなく、「開放するための音楽」を目指しているのではないかと。
ケロ:ああ、そうですね。「開放系」です、ケロポンズの音楽は。あははは、面白い!
ポン:実は、「エビカニクス」はニューヨークでレコーディングしているんですよ。
ーーええっ? そうなんですか?
ケロ:テロがあった2011年に。知り合いのミュージシャンがニューヨークにいて、その伝手で。でも、テロもあったし難しいかな...ということを向こうのスタッフに話したら、「何を言ってるんだ!今こそ音楽だよ」「僕らはこっちで生きているんだよ?」って言われて。そりゃそうだよなと思いましたね。ここで中止にするのは悔しいし、覚悟を決めてニューヨークへ行きました。
ーーニューヨークはどうでした?
ケロ:最高に楽しかった! 素晴らしいミュージシャンたちが参加して下さり、サウンドが半端なくて、今聞いてもすごいグルーヴ感。
ポン:まだケロポンズで走り始めたばかりだったのに、すごいお金使っちゃいました(笑)。でも本当に「サイコー!」でした。行ってよかったです。