Buono!、きら☆レボから、こぶしファクトリーまで ハロプロ×アニソンを俯瞰する
B-1:各種アニメ(8曲)
TVアニメ『キョロちゃん』(1999~2001年)
・ハレーション サマー/ココナッツ娘[OP1]
TVアニメ『クレヨンしんちゃん』(1992年~)
・全体的に大好きです。/シェキドル[ED12]
TVアニメ『ドラえもん』(1979~2005年)
・あぁ いいな!/W[ED10]
TVアニメ『パタリロ西遊記!』(2005年)
・紫陽花アイ愛物語/美勇伝[OP]
・なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?/Berryz工房[ED]
TVアニメ『銀河鉄道物語 ~永遠への分岐点~』(2006~07年)
・ALL OF US/後藤真希[ED]※OVA『銀河鉄道物語 ~忘れられた時の惑星~』EDとしても使用
TVアニメ『怪盗レーニャ』(2010年)
・盗んだハートはココですよ?/小倉唯 with ぷるぷるいゃ~ん[OP]
TVアニメ『極上!!めちゃモテ委員長』(2009~11年)
・エレガントガール/氷室衣舞 (CV 菅谷梨沙子 / Berryz工房)[ED8]
1作品に主題歌が1曲(または2曲)というケースは、全部で8曲あった。各作の詳細は省くが、ひとつだけ特筆しておくと、『クレヨンしんちゃん』でシェキドルがEDテーマを歌っていたのは2001年6月~2002年9月で、こぶしファクトリーよりも前にハロプロとクレしんの縁はあったということになる。
C-1:カバー(3曲)
・CAT'S EYE/キャッツ♥アイ セブン
・魔法使いサリー/アンジュルム
・オラはにんきもの/こぶしファクトリー
既存アニソン曲のカバーというケースは3曲。1983~85年放送のTVアニメ『CAT'S EYE』は杏里が歌う同名主題歌もヒットしたが、2012年にBerryz工房および℃-uteからの選抜メンバー7人の主演で舞台化された際に主題歌もカバーした。
そして冒頭でも紹介したとおり、『愛踊祭』の2015年課題曲が「魔法使いサリー」、2016年が「オラはにんきもの」で、それぞれアンジュルム、こぶしファクトリーのカバーシングルがリリースされた。
以上、合計すると76曲が、ハロプロ関連のアニメソングである(主題歌のみ。アルバム曲なども含めるとさらに増える)。楽曲の傾向を見ていくと、既存歌手名義として既存シングルをタイアップに使用したもの(つまり楽曲の歌詞世界とアニメ作品世界のリンクが薄い/または無い)、既存歌手名義としてタイアップ前提で楽曲制作されたと思しきもの(リンクが多少認められる)、歌手名義もアニメ作品世界に寄せた上で制作されたもの(リンクが一致)、という3パターンに大きく分類することが可能だ。
「リンクが一致」パターンに分類できるタイトル中、『とっとこハム太郎(劇場版)』のみつんく♂制作、『きらりん☆レボリューション』『しゅごキャラ!』『ロビーとケロビー』『リルぷりっ』の4タイトルは非つんく♂制作という色分けが可能なのが興味深い(「B-1:各種アニメ」の中で取り上げた『極上!!めちゃモテ委員長』は、つんく♂がガッツリと主題歌制作に関わっているTVアニメシリーズなのだが、こちらはキャナァーリ倶楽部やTHE ポッシボーなどのNICE GIRL プロジェクト!案件であり、ハロプロとは別枠なので、Berryz工房から菅谷梨沙子がゲスト的に参加した「エレガントガール」1曲のみの抽出とした)。
上記の「リンクが薄い~リンクが一致」という振り幅は、言ってみれば「ハロプロ楽曲(アイドルソング)~純アニメソング」という振り幅でもある。アニソンとしての存在感が増せばハロプロ楽曲としての存在感は薄れ、その逆もまた然り、といったところであり、またアニメ番組の放送終了以降は、ユニットの存在感も薄れていく。だが、ここで例外的な突き抜けた勢いを見せるのがBuono!である。Berryz工房と℃-uteのエース級メンバー3人が集まっているという豪華さ、楽曲の質の高さ、これらが功を奏し、Buono!は毎年ライブツアーをコンスタントに行うなど、企画ユニットに留まらない活躍を見せた。2010年の『しゅごキャラ!』シリーズ放送終了後も活動は続き、アニソンタイアップではないシングル3タイトル、中でも「初恋サイダー」はインディーズアイドルのカバー曲の定番として人気が高い。ハロプロ×アニソンという枠組で考えたとき、充実した成果を見せた二大巨塔の一つがBuono!だと個人的には捉えている(もう一つはきら☆レボ)。
そんなBuono!も2013年以降は目立った活動が無かったが、今年8月25日、日本武道館にて「Buono! Festa 2016」の開催が決まっている。メンバーの鈴木愛理が所属する℃-ute、嗣永桃子が所属するカントリー・ガールズ、夏焼雅が新たに始動させる新グループ、そしてBuono!の4組が出演するライブイベントである。このライブに合わせて新曲が用意されているという噂もあり、2016年下半期のハロプロ界隈を彩る大きなムーブメントの一つなのは間違いないところだ。
<プロフィール>
■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。