AKB48チーム8はガラパゴス的に進化を遂げた? 地元からも愛される活動形態を読む

新たな地方創生の起爆剤としてのチーム8

 

 また各都道府県から1名ずつ代表メンバーがいるチーム8はバーチャル高校野球公式応援キャラクターも務めている。そして各メンバーは自分の地域で放送される高校野球の番組でも公式応援キャラクターとして地元を盛り上げている。高校野球は全国の都道府県から代表校が選出されて甲子園で戦う。各都道府県の代表メンバーが集まっているチーム8は公式応援キャラクターにぴったりだ。

 現在AKB48グループは、AKB48(東京)のほかSKE48(愛知)、NMB48(大阪)、HKT48(福岡)、NGT48(新潟)と姉妹グループが存在し地域を盛り上げているが、チーム8は所属している全員が各都道府県の代表で各地域を盛り上げている。先日新潟で開催された選抜総選挙の経済効果は約15億円だと報じられていた。総選挙開催のような単発的なイベントでなくチーム8は継続的に地元でのイベントやライブへの出演を行っており、出演するイベントなどに全国からエイターも参加することで、地域の活性化や経済効果にも貢献している。また多くのメンバーがその地域を代表する顔となり、情報発信力がだんだん大きくなってきていることで、地元からの注目も高まってきている。つまりチーム8は一人一人のメンバーこそ、AKB48グループ全体の中では目立たないかもしれないが、その地域にとっては地元を代表する重要なメンバーなのだ。

 

チーム8はガラパゴス的発展?

 ドキュメンタリー映画の中でも、チーム8は「AKB48本体とは距離を置いて、ガラパゴス的に発展している特殊な存在」として紹介されていた。メンバーらも「自分たちはAKBのメンバーと思うか?チーム8のメンバーと思うか?」というインタビューで、悩みながらも「チーム8」だと答えていた。メンバーのチーム8への帰属意識も強い。北海道代表の坂口渚沙が総選挙でランクインした時には「チーム8でCDデビューがしたい」とコメントしていた。すでにチーム8のオリジナル曲も多数あるが、実現したらますますチーム8は独自の方向に進んでいくだろう。各地域を代表するメンバーが集結し、そしてチームとしても一丸となっているのがチーム8だ。

チーム8自体は船出したばかりで、まだ第1章かもしれないが、AKB48の第2章を作り上げていくのはチーム8かもしれない。そしてチーム8はAKB48というグループの中でも独自の方向に進んでいるが、21世紀の日本において、地方創生の牽引役としての活躍も期待できるだろう。アイドルシーンの発展と地方創生の可能性を秘めた47人から、ますます目が離せない。

(写真提供=(C)AKS)

■佐藤 仁
シンクタンク研究員。ポップカルチャーやエンタメ・コンテンツが国際社会や日本経済に与える影響を研究。例えば日本とアジアのソフトパワーの源泉はどこにあり、これからどのように進化していくのかについてミクロ(個人単位)からマクロ(社会全体)まで幅広い視点から探求。

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