NEWSの新曲はアイドルソングの王道を行く? 7月13日発売の注目新譜5選

 その週のリリース作品の中から、押さえておきたい新譜をご紹介する連載「本日、フラゲ日!」。7月13日リリースからは、ウカスカジー、EXILE THE SECOND、NEWS、清 竜人25、ASIAN KUNG-FU GENERATIONをピックアップ。ライターの森朋之氏が、それぞれの特徴とともに、楽曲の聴きどころを解説します。(編集部)

ウカスカジー『Tシャツと私たち』(AL)

 Mr.Childrenの桜井和寿、日本のラップミュージックの先駆者のひとりであるGAKU−MCによるユニット、ウカスカジーの2ndアルバム。昨年行われたイベント『MIFA Football park 1st Anniversary』で初披露された「Anniversary」、ふたりが共通の友人の結婚式に出席したことをきっかけに制作されたというウエディングソング「Celebration」、フットボールへの愛を描いた人気曲「勝利の微笑みを 君と」をDJ FUMIYA(RIP SLYME)ともにチューンアップした「前を向け」などを収録した本作には、桜井とGAKU−MCを中心にした、気の置けない仲間同士の心地よい空気がたっぷりと込められている。やはり印象的なのは、徹底的にポジティブに振り切った桜井の歌声。ときにシリアスな表現へと突き進むミスチルの世界観とは違い、ウカスカジーにおける彼のボーカルは人生をとことん楽しもうとする姿勢が強く感じられて、何だかこちらまでホッとしてしまう。7月に行われたイベント『Golden Circle』で桜井が乃木坂46の「きっかけ」をカバーしたことも大きな話題となったが、ボーカリストとしての彼のポテンシャルは年を重ねるごとに広がっているのだと思う。

ウカスカジー「Celebration」

EXILE THE SECOND『YEAH!! YEAH!! YEAH!!』(SG)

 2007年に二代目J Soul Brothersとしてスタート、2009年にメンバー全員がEXILEに加入し、2012年からはTHE SECOND from EXILEとして活動してきた5人(KENCHI、KEIJI、EXILE TETSUYA、EXILE SHOKICHI、EXILE NESMITH)が今回「EXILE THE SECOND」として再出発。シングル3部作の第1弾となる「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」はEDMとFuture Bass、ヒップホップを融合させたトラックとパーティ・モード全開のリリックがひとつになったアッパーチューン。これまではどちらかというとコアなクラブ・ミュージックを志向してきた彼らだが、思い切りキャッチーに振り切ったこの曲からは、「ここから本格的なブレイクに結び付けたい」という意図が感じられる。シングル3部作に続いて、この秋からは初の単独アリーナ・ツアーも決定。近い将来、EXILEの中心メンバーになることを期待されている5人にとって2016年後半は、きわめて大きなターニングポイントになりそうだ。

EXILE THE SECOND「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」

NEWS『恋を知らない君へ』(SG)

 4人体制になってからのNEWSは明らかにバランスが良く、音楽的な方向性も明確になっている印象がある。その中心にあるのはおそらく、伝統的なアイドルのスタイルをやり切るという意思。その時期に話題になっているクリエイターを起用したり、メンバー自らのアーティスト性をこれ見よがしに押し出すのではなく、ファンのニーズに応えたアイドル・ポップスを体現し続けることがNEWSの覚悟であり、それは今回のシングルにもつながっている。ドラマ『時をかける少女』(日本テレビ系)のエンディングテーマに起用された「恋を知らない君へ」は、夏の切ない情景をバックにしたラブソング。ピアノとストリングスを中心にしたクラシカルなアレンジのなかで、手越、加藤、増田、小山の声質を活かしながら、<嗚呼 あなただけは消えないで/夏の中へつれてって>というフレーズへと導く、質の高いバラードナンバーに仕上がっている。曲を聴いているときだけは疑似恋愛というファンタジーを体感できるーーそれこそがアイドルソングの王道なのだと、この曲は真っ直ぐに伝えている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる