コブクロ、フレデリック、ミセス、Anly、菊地成孔ガンダムOST…6月15日発売新譜の注目作は?

 その週のリリース作品の中から、押さえておきたい新譜をご紹介する連載「本日、フラゲ日!」。6月15日リリースからは、コブクロ、フレデリック、Mrs. GREEN APPLE、Anly、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』サントラをピックアップ。ライターの森朋之氏が、それぞれの特徴とともに、楽曲の聴きどころを解説します。(編集部)

コブクロ『TIMELESS WORLD』(AL)

 「未来」(映画『orange-オレンジ-』主題歌)、「何故、旅をするのだろう」(JR西日本『山陽・九州新幹線』CMソング)など15曲中11曲がいわゆるタイアップソング。まるで小田和正か竹内まりやのアルバムのような状態だが、コブクロの楽曲はそれだけ汎用性が高く、どんなシチュエーションにも合う(または合わせられる)ということだろう。ドラマ、映画、CMからマラソン大会まで、与えられたお題に対応しながら正確に芯を食った楽曲を制作し、それを誰もが自然に楽しめるコブクロの歌として成立させるテクニックは言うまでもなく名人級。斬新さや刺激は少ないかもしれないが、いつでもどこでも安心して聴けることこそが売れるポップスの条件とするなら、本作はまちがいなく王道のポップス・アルバムと言える。黒田俊介のルーツであるブラックミュージック、クラブミュージックのテイストを押し出した「Tearless」、小渕健太郎と交流の深い布袋寅泰の作曲による「NO PAIN, NO GAIN feat.布袋寅泰」など、それぞれの音楽性を反映した楽曲も興味深い。

コブクロ「NO PAIN, NO GAIN feat.布袋寅泰」 レコーディング映像

フレデリック『オンリーワンダー』(SG)

 2014年のメジャーデビューミニアルバム『oddloop』のリードトラック「オドループ」がバンドシーンで話題を集めてから約2年、フレデリックはついに“これが自分たちです”と堂々と表明できる楽曲に辿り着いた。タイトルは「オンリーワンダー」。和テイストと独特のループ感を併せ持ったイントロ、耳に残る韻の踏み方と“誰の模倣もせず、独自のスタイルを貫きたい”というメッセージを緻密に組み合わせたリリック、いままで以上にドラマティックな展開を見せるメロディなど、まさに“オンリーワン”と“ワンダー(驚き)”に満ちたナンバーに仕上がっている。特に強いインパクトを放っているのは、力強さを増した三原健司(V&G)のボーカル。これまでは作詞作曲を手がける双子の弟・三原康司(Ba)のポップ&サイケ&ダンサブルなクリエイターぶりのほうが目立っていた印象もあるが、ここ1年のライブ活動のなかで健司はフロントマンとしての存在感を徐々に強めてきた。「オンリーワンダー」の充実ぶりの大きな要因は、まさにそこにあると思う。

フレデリック「オンリーワンダー」

Mrs. GREEN APPLE『サママ・フェスティバル!』(SG)

 「サママ・フェスティバル!」というタイトルに偽りナシというか、驚くほどあからさまに夏フェスに照準を合わせてきたメジャー2ndシングル。BPM170くらいの身体を揺らしやすいテンポ、エレクトロ×ロック的なカラフルなビート(サビ前は“パン・パパン・フー!”のリズムになります)、シンガロング必至のメロディライン、そして、「サママママ・フェスティバル! ワクワクしちゃうよね」というサビのシチュエーションを限定した歌詞など、岡崎体育の「Explain」をマネして“こういう夏フェスソング、あるよねー”と言いたくなるようなボキャブラリーで埋め尽くされているのだが、たとえばKEYTALKの「MONSTER DANCE」がそうであったように、楽曲として非常に優れているし(特にテンション系コードの使い方と転調、洗練されたポップネスを感じさせるメロディ)、“フェスのオーディエンスにアピールし、自分たちのワンマンに連れてくる”というフェス本来の目的を実現させる可能性を大いに秘めていると思う。どちらにしても勝負は今年の夏。邦楽フェスに遊びに行く人はぜひ、「サママ・フェスティバル!」の効果のほどを確かめてみてほしい。

Mrs. GREEN APPLE「サママ・フェスティバル!」

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