CTS『WAVINESS』インタビュー
CTS、メンバー初インタビュー!「ダンスミュージックとJPOPの垣根を超える架け橋になりたい」
トランス、テクノ、EDMなどを独自の解釈で再構築したダンスミュージック・サウンドと日本語の響きを活かした歌を共存させた音楽性により、ジャンル/シーンを超えた支持を得ているLED覆面ユニット、CTSがオリジナルアルバム『WAVINESS』を完成させた。
前作『THE BEST OF CTS』(2014年2月リリース)以降、テイラー・スイフトの来日公演のフロントアクト、インドネシア、台湾を含む国内外のイベント出演、映画『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』の主題歌「WAVINESS feat.南波志帆」の制作など、活動の幅を大きく広げたCTS。ポップスとしての精度を高めた本作『WAVINESS』のリリースをきっかけにして、その独創的な音楽スタイルはさらに幅広い層のリスナーに認識されることになりそうだ。
今回はCTSのメンバーであるCircle/サークル(Vo)、Triangle/トライアングル(Syn)、Square/スクエア(DJ)にインタビュー。CTSのコンセプト、楽曲制作のこだわり、アルバム『WAVINESS』のテーマなどについて訊いた(なお、インタビューではサークル、トライアングルがボコーダー・ボイスで回答。サークルは会話が出来ないため、テレパシー通信を通し、トライアングルが代弁した)。(森朋之)
楽しんで作らないと伝わらない
——『THE BEST OF CTS』以来、約2年ぶりのアルバム『WAVINESS』が完成しました。この2年間は数多くのフェスに出演、CM、映画などのタイアップ楽曲を手がけるなど、活動の幅が大きく広がった印象があります。みなさんの手応えはどうですか?
トライアングル(以下、T):確かにいろいろなことをやらせていただいてますが、特に制作的に以前と変わったところはないですね。僕らはがんばりすぎないというか、気張らず、自分たちのペースで自分たちの出来る事、自分たちがやりたい事に、まずはしっかり専念するよう意識してます。音楽に対して変にストイックになりすぎると僕ら自身が楽しめなくなるし、“楽しんで作らないと伝わらない”というふうにも考えているので。
スクエア(以下、S):そうですね。あまり急ぎ過ぎず、自分たちのペースで活動してきた2年間だったかなと。
T:もちろんコンセプトや活動のテーマはきちんと存在しているんですけど、「絶対にこれを実現したい」とか「必ずこういう存在になる」というよりも、そのときに良いと思ったこと、楽しいと思ったことをまずは丁寧に柔軟にやっていきたいな、と。
サークル(以下、C):(頷く)
T:サークルはステージ上で歌うことは出来ますが、ステージ以外ではしゃべれないんですよ…。コミュニケーションはテレパシーでとってます。
——了解です! CTSのコンセプトの軸になっているのは、ダンスミュージックのユーザー、JPOPのリスナーが両方とも楽しめる音楽ということでしょうか?
T:まさにそこがいちばん大切なポイントですね。この3人は別々に独自のフィールドで音楽をやっていたのですが、「ダンスミュージックを聴かない人、JPOPや日本語の曲を聴かない人の垣根を超える、架け橋のような存在になりたい」という共通認識があって、一緒に活動することになったので。
——その垣根は徐々に超えつつある、という手応えも感じていますか?
T:手応えは……なくはない、という感じですね。まだ成功とは言えないですけど、少しずつ理解してくれる人は増えているのかなと。
S:ライブなどでも一緒に盛り上がってくれる人が徐々に増えていますからね。クラブだけではなく、ライブハウスやイベントなどにも出演させてもらい、少しずつ広い層に受け入られていると思います。
最先端のダンスミュージックを常々研究
——今回のアルバム『WAVINESS』は歌の要素が高まり、ポップスとしての精度が上がっているように感じました。制作前にはどんなテーマがあったんですか?
S:全体のテーマというよりも、この2年間で作ってきた曲を集めた感じなんですよね。
T:さきほども言ったように、自由に楽しく作っていくなかで、良い曲が集まったという。ただ、今回はCTSの重要な要素のひとつとしてサークルの声にいつもより少しフィーチャーした形で、それを幅広く、いろいろな表情で聴かせたいという気持ちはありましたね。
C:(頷く)
T:歌の所で言うともうひとつ大事にしているのは、日本語の歌詞です。我々は日本語というものを愛していて、その美しさ、言い回しの奥深さ、おもしろさをダンスミュージックのフィルターを通して新しい感覚で聴いてもらいたいと思っています。
——ロックと日本語というテーマは1960年代から延々と追求されてきましたが、“ダンスミュージックと日本語”に関してはまだまだ可能性が残されていますよね。
T:本当にそうですね。僕たちは邦楽、JPOPの枠で活動しているつもりなんですが、そのなかでCTSとしてできるオンリーワンなこと、誰もやったことないことにチャレンジしたいと思っています
——ダンスミュージックは流行の移り変わりが速いので、日本語の歌を乗せて普遍的なポップスに結びつきづらいところがあるのかも。「サウンドが最先端すぎると、JPOPユーザーには受け入れられないかも」みたいなバランスを考えることはありますか?
T:そうですね…。シカクさん、どう?
S:最先端のダンスミュージックは常々研究していますし、今回のアルバムにもそういう要素を取り入れた曲は収録されていますが、そういうバランスはネガティブナ所ではあまり気にしてないかもしれないですね。
T:「この音はまだ早すぎる」とか「受け入れられるか?」というよりも、やっぱり僕らが良いと思ったものをやりたいので。「こういうの楽しいよね」と感じることを素直にやるというか…。周りのオトナの方から「この音はちょっと(POPSとしてはやりすぎなのでは?)」みたいなことを言われることはありますが、「そんなの知らないです!」ってスタンスです。そもそも僕たちは未来から来てますからね。僕たちにとってはすべてが過去の音だし、流行ってるとか流行ってないとか、そういう次元では捉えてないです(笑)。
C:(頷く)
T:あと、ポップスというものが大好きなんですよね、もともと。いちばん自由にやれるジャンルだと思うんですよ、ポップスって。