嵐「I seek」「Daylight」は2曲で“嵐らしさ”を表現? 両曲の映像が果たす役割を読む

 嵐が、5月18日にリリースする両A面シングル『I seek / Daylight』ビデオ・クリップ映像の一部を、テレビの情報番組などを中心にオンエア解禁した。

(C)タナカケンイチ

 「I seek」は大野智主演ドラマ『世界一難しい恋』(日本テレビ系)、「Daylight」は松本潤主演ドラマ『99.9 -刑事専門弁護士-』(TBS系)の主題歌として起用されており、リリースを前にすでに楽曲を耳にする機会も多くなった。しかし、今回ビデオ・クリップの映像が公開されたことにより、この2曲を合わせて「嵐らしさ」の世界観が完結する作品であるということにはじめて気付かされたのである。

 “恋愛に不器用な男性”の切なさとジレンマが楽曲テーマである「I seek」の映像の舞台は、ホームパーティーが終わった後の部屋。キッチンのシーンでは、どこかせつない表情で楽曲を口ずさむ櫻井翔と相葉雅紀の姿が、また、飾りつけられたリビングでくつろぐ中、リズムに合わせて踊り出す櫻井・相葉・大野、さらにはテーブルを囲んで輪になったメンバー全員が踊るような様子が映し出され、それらのダンスシーンで楽曲が持つポジティブさが表現されていた。

 一方、「Daylight」は砂で作られた世界が映像の舞台。膨大な砂の中からダイヤを探し出すように希望を見つけ出そうとする嵐のメンバーの力強い表情が描かれていて、先述の「I seek」とはまったく違った真剣な表情が映し出されている。サビ前には、ドラマで主演を務める松本のソロショットとともに、フラッシュ的な映像手法でマーガレットの花が突然映し出されたり、松本の他にもそれぞれのメンバーのイメージシーンのようなものが多用されていた。

 明治大学法学部の講師で、嵐を題材にした講義を行っている関修氏が、書籍『「嵐」的、あまりに「嵐」的な』で論じていた『「truth」以降の映像に共通する“四つの手法”』というものがある。これは、2008年リリースの「truth」以降に現在の嵐のスタイルが確立されたという同氏の指摘のもと、それ以降のビデオ・クリップから共通して用いられるようになった表現方法を4つ挙げ、それらを「嵐的」な表現として紹介したものだ。

 1つめは、『5人が一緒になって踊るという「踊る嵐」の発想』。これは「I seek」に登場したテーブルを囲んでメンバーが踊るシーンが当てはまる。2つめの『各メンバーが歌うシーン』は、いずれの映像にも当てはまるが、3つめの『フラッシュ的な各メンバーの肖像』と、4つめの『背景や静物を象徴として起用する』の手法は「Daylight」の映像で用いられていた。今回の「I seek」「Daylight」は、どちらか1曲で「嵐的」なものが表現されているのではなく、2曲揃うことで「嵐的」なものが完成されていると考えられるのではないだろうか。

関連記事