the GazettE『UNDYING』インタビュー
the GazettE、新作『UNDYING』とキャリアを語る「よくわからない自信があったから、ここまで続いたのかも」
「ストーリーが進むにつれて表情が変わっていく曲作り」(RUKI)
──そして4月27日にニューシングル『UNDYING』が発売されました。表題曲はここまで攻めるか? っていうほどの作風で、特に冒頭のブラストビートでいきなりガツンとやられました。だけど、ただ激しいだけではなく、いろんな要素が混ざり合っていて。疾走するパートだったり、ラウドなミディアムパートだったり、スローでじっくり聞かせるパートだったりと、いろいろ複雑に絡み合った展開を持つ曲ですよね。
RUKI:ドラマや映画のように、シーンによって展開が変わっていくような構成は、もともと『DOGMA』のときから意識していて。映画でも同じシーンが何度も出て来ることってないので、ストーリーが進むにつれて表情が変わっていくような曲の作り方は目指していたんですけど、それは本当につらい作業でしたね(笑)。よくあるAメロからBメロ、サビに行ってという作曲方法とはまた違う作り方ですし。
──いわゆるポップソングにありがちな構成ではないですもんね。「UNDYING」の場合、どこを指してAメロと呼ぶのかも難しいですし。
RUKI:だからレコーディングも難しいんですよ。あるパートを直してほしいとき、ちょっと何メロとは説明しづらくて。仮に言ったとしても、メンバー全員イメージが一致してないし。で、結局口でそのパートを再現して伝えることになるんです(笑)。
──そういう意味ではレコーディングは大変でしたか?
麗:いや、わりといつもよりは楽してた……かな(笑)?
戒:そうですね、体力的には(笑)。でも今回はちょっと実験的なところもあって、充実したレコーディングでしたよ。
──歌詞の冒頭には「Sleep…Count me down…Again」という、アルバム『DOGMA』のラストナンバー「OMINUS」にもあるフレーズが出てきます。
RUKI:アルバムの中でも「DOGMA」という曲と「OMINUS」という曲はストーリーがつながってる部分があって。そこから「OMINUS」がそのフレーズで終わるんで、「UNDYING」は「OMINUS」の続きをイメージしてたんです。
「『DOGMA』の世界に3曲追加するイメージ」(REITA)
──では『UNDYING』で表現される世界は、前作『UGLY』の続編的ストーリーなんでしょうか?
REITA:というよりも、『DOGMA』の世界に3曲追加するイメージですね。『DOGMA』の世界を徐々に拡張していくような。
──ひとつの独立した作品というよりは、もとからあった物語をさらに膨らませたり、より深く知ってもらうための追加要素だと。
葵:そう捉えてもらえるとありがたいかな。
──なるほど。タイトルの「UNDYING」は「不死」という意味がありますが、このタイトルの意味は?
RUKI:本当は「永遠」とかそういう感じの言葉を使いたかったんですけど、でもこのプロジェクト最後のシングルが「FOREVER」ってタイトルでもねえ。言いたいことはそういう意味なんだけど、難しいですよね。今回は廻り巡るような、普遍的なという意味合いを込めて「UNDYING」というワードを選んだんです。
──そうだったんですね。確かに言葉のチョイス次第で、受け手の感じ方がだいぶ変わりますもんね。2曲目のタイトル「MALUM」は、あまり耳にしないワードですが。
RUKI:これはラテン語で「欠落」とか「悪」とかいう意味なんです。英語にも「MALUM」って言葉はあるんですけど、そちらは「疾患」とかまた別の意味になるんですよ。
──そして3曲目は「からっぽ」という意味を持つ「VACANT」。「不死」「永遠」、「欠落」「悪」、そして「からっぽ」という流れから、いろいろイマジネーションが掻き立てられます。
RUKI:やっぱり言葉ってすごいなと思いますね。漢字だったら「不死」とか「永遠」とか、2文字の中にいろんな意味が凝縮されてるじゃないですか。その一方で、英単語もひとつの単語に対していろんな意味を持っていて、ときには正反対の意味を兼ね備えている場合もあるので面白いですよね。
「僕らは不器用なんで、やりたいようにしかできない」(葵)
──それにしても現在これだけCDが売れないと言われる中で、『UGLY』『UNDYING』とここまで攻めた内容のシングルを連発するthe GazettEは、改めてユニークな存在だなと思いました。
RUKI:ある意味、空気が読めてないというか。でも「UNDYING」はスローパートだけ聴いたらバラードだと思うかもしれない。「ああ、久しぶりにバラードシングルだね」と思って全部聴いてみたら「えっ?」っていう。
──確かに。メロウなパートとラウドなパートが並列されてますから、どちらか一方に触れてから全体像を見てみたら、実はまったく違うものだったということもあるでしょうし。でも、そこがthe GazettEの魅力でもあるわけで。
葵:結局僕らは不器用なんで、やりたいようにしかできなくて。気の利いた曲ってあまり作れないし、今後もこういうスタイルでいけたらいいかなって。
──それが10数年続けることで、ひとつのスタイルとして確立されたってことですもんね。話は変わりますけど、the GazettEが10数年にわたり活動を続けてこれた秘訣、理由って皆さんはどう考えてますか?
RUKI:まぁ秘訣はないですよね(笑)。
麗:10周年のときも「10周年だ。10年も続いた」っていう思いもあまりなかったし。
RUKI:10周年よりも13周年が一番記憶に残るっていう、訳わかんない感じですけど。まあそれもthe GazettEらしいのかな。
葵:そこについて考えてる暇が、あんまりないのかもしれないですね。
──やりたいことをやり続けていたら、10数年過ぎていた?
葵:そうですね。
「不思議とダメになる自分たちの姿を考えたことはない」(葵)
──では逆に、the GazettEを結成した頃はここまでバンドが長く続くと思ってましたか?
RUKI:せめて1年は保たせたいとは思ってましたね。
REITA:深くは考えてなかったですけどね。ライブで頭振るんで、忘れちゃうんじゃないですか(笑)? 全部飛んでっちゃうんで、常に結成2年目ぐらいの気持ちでいますけどね。
葵:でも不思議とダメになる自分たちの姿を考えたことはないですね。ただがむしゃらにやってたらこうなってたというか。
──では「これは行ける」と手応えを感じたタイミングは?
RUKI:ああ、それはありましたね。俺、はっきり覚えてますよ。初期の頃、動員が落ちに落ちて最低6人ぐらいまで減ったんですけど、そこから一気に30人ぐらい増えたんですよ。で、「あ、これはくるな」と。
REITA:横浜アリーナのサウンドホール(現:新横浜 NEW SIDE BEACH!!)だよね。言ってた言ってた、「あ、売れる」って(笑)。
RUKI:今と違って、昔は200人とか動員するバンドは化け物でしたからね。そりゃ30人も入ったら「いけるかな?」って思いますよ。武道館が射程距離内に入ったというか(笑)。
戒:それだけ入ったら、ライブハウスのノルマもペイできたもんね。
葵:すごいね、その思考も。
RUKI:そのよくわからない自信があったから、ここまで続いたのかもしれないですね(笑)。
──さて、『PROJECT : DARK AGE』は7月から始まるスタンディングライブツアー『STANDING LIVE TOUR16 DOGMATIC –ANOTHER FATE–』を経て、9月27日に実施されるフリーライブをもってひとまず完結します。このプロジェクトが完結するときに改めて『DOGMA』を聴いたら、きっと1年前に発売されたときに聴いた印象とはまた変わってくるんじゃないでしょうか。と同時に、the GazettEにおける『DOGMA』という作品の立ち位置も変わってきそうな気もしますが?
葵:なるほど。どうなんでしょうね?
RUKI:the GazettEの歴史上、どこにあてはまるのかなっていうのは気はなりますね。有名な外タレバンドに例えると、歴史上のどのへんなのかなって。イケてないところじゃないことだけを祈ってます。
(取材・文= 西廣智一)
初のアメリカツアー開催中のthe GazettEよりライブ写真到着
■関連情報
<PROJECT:DARK AGE全貌>
00:OVERTURE PROJECT:DARK AGE始動
1ST MOV.:アルバム『DOGMA』リリース(2015年8月26日)
2ND MOV.:ライブ『TOUR15「DOGMATIC-UN-」』(2015年9月~10月)
3RD MOV.:シングル『UGLY』リリース(2015年11月18日発売)
4TH MOV.:ライブ『TOUR15-16「DOGMATIC-DUE-」』(2015年12月~2016年1月)
5TH MOV.:ライブ『LIVE TOUR15-16 DOGMATIC FINAL「漆黒」』 (2016年2月28日国立代々木競技場第一体育館公演)
6TH MOV.:シングル『UNDYING』リリース(2016年4月27日)
7TH MOV.:ライブ『the GazettE WORLD TOUR16 DOGMATIC -TROIS-』The Americas(北米/南米)(2016年4月~5月)
8TH MOV.:ライブ『the GazettE WORLD TOUR16 DOGMATIC -TROIS-』The Far East(アジア)(2016年5月)
9TH MOV.:ライブ『the GazettE WORLD TOUR16 DOGMATIC -TROIS-』The Continent(ヨーロッパ)(2016年5月~6月)
10TH MOV.:映像作品『LIVE TOUR15-16 DOGMATIC FINAL「漆黒」 』 (2016年冬発売予定)
11TH MOV.:ライブ『STANDING LIVE TOUR 16 DOGMATIC -ANOTHER FATE-』(2016年7月~8月)
GRAND FINALE:ライブ『GRAND FINALE STANDING LIVE TOUR 16 DOGMA –ANOTHER FATE-』(2016年9月27日)
■リリース情報
『UNDYING』
発売日:4月27日(水)
価格:初回限定盤【CD+DVD】¥1,836 (tax-in)
通常盤 【CD】¥1,296 (tax-in)
<初回限定盤収録内容>
DISC 01:CD
01. UNDYING 02. MALUM
DISC 02:DVD
01. [UNDYING] MUSIC VIDEO
02. MAKING OF [UUDYING] MV
<通常盤収録内容>
DISC 01:CD
01. UNDYING 02. MALUM 03. VACANT
■ライブ情報
『11th Movement STANDING LIVE TOUR 16 DOGMATIC -ANOTHER FATE-』
7月6日(水)豊洲PIT 17:30/18:30
7月10日(日)仙台PIT 17:00/17:30
7月13日(水)Zepp DiverCity TOKYO 17:30/18:30
7月20日(水)CLUB CITTA’川崎 17:30/18:30
7月21日(木)CLUB CITTA’川崎 17:30/18:30
7月25日(月)Zepp Nagoya 17:30/18:30
7月27日(水)なんばHatch 17:30/18:30
7月29日(金)博多DRUM LOGOS 18:00/18:30
8月1日(月)新木場STUDIO COAST 17:30/18:30
8月2日(火)新木場STUDIO COAST 17:30/18:30
チケット料金:前売り¥6,800(tax in)※ドリンク代別、3歳以上有料
<一般発売>
6月4日 (土) 10時〜各種プレイガイドにて
TOTAL INFORMATION
Zepp Live 03-5575-5170(平日13:00~17:00)