「大器晩成」が圧倒的な強さを見せた2015年 ハロプロ楽曲大賞を振り返る

MV部門

モーニング娘。'15「青春小僧が泣いている (Another Ver.)」

 MV部門で1位となったのは、モーニング娘。'15の「青春小僧が泣いている (Another Ver.)」。正規バージョンではなく、フジテレビ『The ビッグチャンス』の番組内企画の一環として渋江修平が監督した別バージョン。ソフト化はされてなくYouTubeでのアップのみの公開だが、その暗喩に満ちた映像世界は従来のハロプロMVとは一線を画す仕上がりで、ファンの高い支持を得た結果1位に輝いた。

 2位以下を見ると、楽曲部門で上位のものと結構かぶっているところもあるが、例えばアンジュルムは「大器晩成」(8位)ではなく「臥薪嘗胆」(4位)の方が上だったりと、やはりMVランキングならではの面白さがある。

推しメン部門

 この部門は「MVPではなくオールタイム推しメンを選んでください」というアナウンスをしてはいるのだが、例えば2014年度は卒業した道重さゆみが1位になったりなど、やはりその年の状況が反映されることが多い(深読みすると、推しメンを1人に絞らないようなライト層がその年のMVP的なメンバーに投票する、という傾向があるのかもしれない)。

 そうすると「2015年は鞘師里保が1位になるのでは?」というのが事前の大方の予想だったはずだが、フタを開けてみれば鞘師は2位で、1位は同じモーニング娘。'15の佐藤優樹がかっさらうという結果になった(2013年まで連続1位を獲り続けていた嗣永桃子は3位)。また、5位に鈴木香音、6位に小田さくらが上がってきたのに驚く人も多いだろう。

 メンバーの人気というものは、ライブの際の声援の量やファンが灯すサイリウムの数、グッズの売上などいくつかの指標で可視化されるが、どれかひとつが絶対的な基準になるということは無いだろう。その意味でこの推しメン部門ランキングもあくまで指標のひとつに過ぎない、と考えている。とはいえ、まーちゃんの人気が上がってきているという話は個人的にもよく耳に入ってきた(特に女性ファンが増えている、と聞く)。

 ……以上、2015年度のハロプロ楽曲大賞の結果を駆け足で振り返ってきた。すでに2016年度のノミネートに含まれる楽曲はいくつか発表されており、前述した℃-uteやモーニング娘。'16、こぶしファクトリーの他にも、Juice=Juice主演ドラマ『武道館』の主題歌「カラダだけが大人になったんじゃない」や、劇中アイドルグループのNEXT YOUに扮して歌う「Next is you!」、カントリー・ガールズの新曲「ブギウギLOVE」など、気になる楽曲ばかりだ。それでは今年末も、みなさんの投票をお待ちしています。

■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。Twitter

関連記事