クラムボン・ミト、サカナクション、くるり岸田……バンドマンが手掛ける劇伴、それぞれの特徴とは?
最後に高根氏は、これらの音楽をより効果的に味わうための施策を打っている映画館もあることを教えてくれた。
「塚本晋也監督が手掛けた『野火』は、上映チェックの際、映像以上に音にこだわってチェックをしたという話を聞きました。実際に映画で使われている音の鳴りは、タイミングや効果音の響き方などを含め、素晴らしかった記憶があります。他にも映画では、音に注目した上映会などもあり、立川シネマシティでは極上音響『KICリアルサウンドシステム』を使い、音をしっかりとイコライジング調整したうえで、映画に合わせた最高の音質で視覚的にも聴覚的にも楽しむ機会が用意されています。ほかにも舞浜にあるシネマイクスピアリなど、より音楽にこだわった映画が、ちゃんと原案に近い形で楽しめる環境が増えてきています。イコライジングまでしてくれる劇場は稀ですが、音にこだわった作品は劇場で観る必然性も増しますし、ミュージシャンと映画がコラボレーションし合っていくことがさらに重要視され、起用も増えていくのではないでしょうか」
特徴的な音作りだからこそ、より世界観を強調したい場合の選択肢として増えつつあるバンドマンの起用。音響技術の発展や新鋭監督の登場とともに、ますますその登用スタイルは広まっていくのだろうか。
(文=編集部)