嵐・櫻井、SMAP中居、TOKIO・国分……大型音楽特番とジャニーズ司会者の関係とは?

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(C)タナカケンイチ

 前回も話題にしたテレビ朝日系『ミュージックステーション』(『Mステ』)。この10月に30年目に突入するのを記念して、特番を9月23日に放送する。その名も『MUSIC STATION ウルトラFES』。昼12時からスタートし、10時間にも及ぶ生放送だ。すでに出演者も続々と発表されている。地上波生放送の音楽番組に初音ミクが初登場するということでも話題だ。

 ところで最近は、この『Mステ』特番に限らず、長時間にわたる大型音楽特番が民放各局ですっかり定着した感がある。『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)、『音楽の日』(TBS系)、『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)、『テレ東音楽祭』(テレビ東京系)などがそれだ。

 もうお気づきの方もいるかもしれないが、これらの番組にはある共通点がある。そう、『THE MUSIC DAY』が櫻井翔、『音楽の日』が中居正広、『FNS歌謡祭』が草彅剛、『テレ東音楽祭』が国分太一、と番組MCがすべてジャニーズなのだ。

 大型音楽特番とジャニーズ。そこにはどんな関係があるのだろうか? ここではそのあたりを『FNS歌謡祭』の変遷から探ってみることにする。というのも、『FNS歌謡祭』だけが第一回目は1974年と、2010年代に始まった他の音楽特番に比べて飛び抜けて早く始まっているからである。その意味でこの番組は、ここ数十年間音楽番組がたどってきた歴史、そしてジャニーズの歴史を映す鏡でもある。

 当初『FNS歌謡祭』は、フジテレビ系列が主催する音楽賞の番組だった。ジャニーズのタレントはあくまで歌手という立場である。ジャニーズは、一時の不振を脱出した1980年ごろから受賞者に名を連ねるようになった。1980年代前半にはたのきんトリオのそれぞれやシブがき隊が最優秀新人賞、さらに80年代後半以降になると少年隊や忍者が最優秀新人賞、近藤真彦や光GENJIが最優秀グランプリを獲得している。

 ところが1990年を最後に、この音楽賞形式は幕を閉じることになる。前回も書いたように、1990年前後は、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)や『ザ・ベストテン』(TBS系)など各局の看板歌番組が相次いで終了を迎えるという音楽番組全体の歴史的な変わり目だった。テレビの歌番組が流行歌の中心だった時代が終わったのである。民放各局が主催していた音楽賞形式の特番もその影響を受け、多くは番組終了へと追い込まれた。

 ただ『FNS歌謡祭』だけは、1991年複数のアーティスト・歌手が出演するライブ形式へと路線を変更し、それが視聴率的にも成功を収める。その結果この形式が、現在の大型音楽特番の原型になった。1990年代になって人気を得たのは、小室ファミリーやLUNA SEA、GLAY、L'Arc~en~Cielのようなライブ重視型のアーティストだった。『FNS歌謡祭』は、いち早くそうしたトレンドに対応したのである。

 そのことは、1994年に始まったフジテレビ系『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』にも当てはまるだろう。MCのダウンタウンとアーティストのバラエティ的なフリートーク部分が注目されがちだったが、番組タイトルにもある「チャンプ」コーナーが物語るように、音楽番組としてはアーティストのライブをじっくり見せようというコンセプトがそこにはあった。

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